NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は6月5日の記事を紹介する。
今年はBIS(日本ビジネスインテリジェンス協会)を1992年に創設以来34年になる。「継続は力なり」ということばを実感として味わっている今日この頃である。
この間の国内外の参加者は累計1万7,000人、講師750人に達する。この間の筆者の人生での忘れ得ぬ出会いにについて、この機会にまとめておきたい。
筆者の好きな言葉に尊敬する「あいだみつお氏」の「そのときの出逢いが」という言葉がある。34年の間には多くの出会いと別れがあった。今回は不幸にも物故された方々を中心に感謝を込めて思い出をつづることとしたい。
1977年7月 、ブラジル・リオデジャネイロ駐在中にご縁ができた小野田寛郎・元陸軍情報将校とは日本帰国後も35年以上もBIS顧問として親しくご指導をいただいた。日本におられる限り、町江夫人と情報研究会にご参加いただきインテリジェンス──とくに諜報情報についてご指導をいただいた。小野田少尉の口癖は「その情報の情報源はどこか。情報源は信頼に値するか精査せよ」であった。
JETRO理事長を務められた豊島格氏は元通産省貿易局長を務められた。75年、日本ブラジル貿易使節団の一員として河本通産大臣に同行、リオデジャネイロをご訪問。歓迎パーティーには夫婦同伴で参加せよとのことで妻も着物姿で参加した。豊島局長はお父上が筆者と同郷の鹿児島とのことで、パーティーで急に親しくなった。このご縁でBIS創設時、顧問をお願いした。豊島氏の奥さまは小泉元首相の姉上で、小泉元首相の義理の兄にあたる。
JETRO理事長時代は国際ビジネスインテリジェンスに関し、情報専門家をご紹介いただき、公私ともに大変お世話になった。我が家の書斎の一番の本棚は豊島氏から、名著ごといただいたものである。筆者の東京経済大学教授退官記念パーティーには御参加、御挨拶をいただき感激したことを思い出す。
戦略インテリジェンス研究の第一人者たる青山学院大学・石川昭教授とは東京経済大学創立100周年記念パネル討論会でご一緒したことでご縁ができ、長年にわたりBIS顧問として親しくご指導をいただいた。BIS創設20周年記念に筆者が石川昭教授と編著で出版した『知識情報戦略』(税務経理協会)、英文著書“Knowledge Information Strategy”(Singapore World Scientific)では、石川昭教授に一方ならぬお世話になった。
リオデジャネイロ、サンパウロで大変お世話になった平野総領事は、ウルグアイ、スーダン大使としてご活躍されたが、ご帰国後BIS顧問として国際外交経済情報に関し、大変お世話になった。さらに外務省欧亜局長、ベルギー大使、東京経済大学教授を歴任された兵頭長雄大使には長年にわたりことのほか親しくご指導をいただいた。
(つづく)
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。