機動力と売買力でデベロッパー支える
中心部の再開発や再生には、多くの資金が必要となる。不動産再生を手がける(株)トリビュート(福岡市中央区)は、自社で不動産開発を行うケースは稀だが、デベロッパーへ開発用地を供給することを得意としている。単なる土地の売却だけでなく、築古マンションを取得し、立ち退き交渉を経て更地化したうえでの売却などにも対応する。また、隣接地を取得することで、土地のポテンシャルを向上させ、より大型の開発が可能な土地に仕上げた実績も少なくない。
「間口や面積がネックとなり、隣地と合わせた一体開発が最適な物件も少なくありません。これには立ち退き交渉が欠かせませんが、物件の所有者でない者が立ち退き交渉をすることは、非弁行為となります。当社は物件を取得することで、所有者として立ち退き交渉を行い、不動産の価値を向上させたうえで、デベロッパーへ売却することを得意としています」と、トリビュートのグループ会社・(株)TRホールディングス・永田誠専務は話す。
不動産開発のパートナー【COVISON】とは
さらに、トリビュートの田中稔眞社長は次のように加える。
「たとえば、入居者がいる建物とその敷地を当社が取得し、ホテル開発用地としてデベロッパーへ売却、建物は当社が保有し立ち退き交渉を行う、立ち退き交渉が完了すれば当社で解体ないし空きビルをデベロッパーへ売却、ということにも対応しております。こういった当社単独ではなく、デベロッパーをはじめとするパートナーと共同で進めるビジネススキームを、【COVISON】と名付けて、推進しているところです」。
トリビュートでは、インカムリターンを目的としたオフィスやマンションの長期保有も行うほか、キャピタルリターンを目的とした単体での商品土地の開発・売却、インカム・キャピタル双方のリターンを目的とした収益物件の再生・売却も行っている。これらに加えて、好立地かつ規模の大きな開発プロジェクトで手がけるのが、【COVISON】なのだという。

仲介ではなく「ポジションをとる」
開発が可能な土地に仕上げるには、解体工事の期間もさることながら、立ち退き交渉をはじめとした権利調整など、時間を要する作業が多い。デベロッパーとしては、できるだけ早期に解決し、新たな建物を開発したいと考えるはずだ。「最優先事項は、デベロッパーをはじめとしたパートナーのプロジェクトを円滑に進めることです。当然、権利調整の完了には期限がありますので、当社としてはそこを目指すのは当然ながら、その後の開発などのプロジェクトの完了まで見据えた、丁寧な交渉を進めることが求められます」(田中社長)。
【COVISON】でポイントとなるのは、まず商品となる不動産=土地の情報とその取得だ。トリビュートは、これまで仲介業務よりも、自社でポジションをとる「取得」に軸足を置いてきた。「仲介業務は自らの資金を使わないので、効率は良いのですが、好立地の物件情報などは、とくに大手仲介に遅れをとってしまうことが少なくありません。ポジションをとってきたことで、『買い手』として情報が集まり、そこに再生を加えることで、付加価値を付けることも可能になります」と田中社長は説明する。
【永上隼人】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中稔眞
所在地:福岡市中央区渡辺通1-1-1
サンセルコビル6F
設 立:2009年4月
資本金:1,600万円
TEL:092-292-2313
FAX:092-292-2314

月刊まちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)