国際未来科学研究所
代表 浜田和幸 氏
1999年に出版された漫画で、今年の7月5日を日本沈没の日とした漫画家のたつき諒氏の作品『私が見た未来』が話題となりました。海外のメディアが大きく報道した影響で、韓国、台湾、香港からの訪日観光客が急減しました。ところで、こうした大規模な自然災害への関心が高まる状況を逆手に取って、人工的な「津波兵器」の使用を目論むような動きも見られるので要注意です。
自然災害を装う津波兵器と軍事戦略
第二次世界大戦末期に米軍はニュージーランドの沖合で日本をターゲットにする「津波兵器」の実験を重ねていました。最終的には広島と長崎への原爆投下で日本の降伏を勝ち取ったわけですが、ぎりぎりまで地震と津波で日本人の戦意をくじく可能性を模索していたものです。実は、トランプ政権では「中国を最大の脅威」と見なしており、その脅威を取り除くために「自然現象」の体裁を取りながら、中国の海浜部と港湾部を破壊する研究も進んでいるといわれています。
たつき諒氏の漫画では「7月5日の早朝、フィリピン近海で海水の大転換が発生し、日本の太平洋岸は巨大な津波に飲み込まれる」と予言されていますが、米国の軍事専門家の間では「フィリピン近海のマリアナ海溝で人工的な地震を発生させ、中国の太平洋岸を津波で飲み込ませる」という検討も進んでいるとの指摘もあります。
しかし、未来を予言する漫画に限らず、現実の世界でもウクライナ戦争やイスラエル・イラン戦争など、第三次世界大戦に発展しかねない危機的情勢が続いています。また、その裏では人類の生存が問われる深刻な環境破壊と食糧危機が忍び寄っていることが懸念されるところです。
予言されたパンデミック そして農地と種子の掌握
いわゆる「2026年人類滅亡説」です。世界の大富豪たちは終末の日に備えるために必死で取り組んでいます。ビル・ゲイツ氏も例外ではありません。19年10月にはニューヨークで「イベント201」と題する国際会議を主催。その狙いは「コロナパンデミックのシミュレーション」でした。実際、その後、中国から新型コロナウイルスCOVID-19が世界に広がったわけですが、それよりも前に感染症の爆発を予測し、「ワクチン接種ビジネスで大もうけできる」と語っていました。
現在、日本も大量の輸入契約を結んでいるのがファイザーやモデルナのワクチンですが、こうした巨大ワクチンメーカーの最大の出資者・株主はゲイツ氏なのです。そうした状況を見ると、「コロナは仕掛けられたものではないか」と疑いたくもなります。そんなゲイツ氏が密かに進めているのが農地の買収です。21年の時点で、全米19州で25万エーカーの農地を取得済みで、今や「アメリカ最大の農地王」とまで呼ばれるほどになっています。
その狙いは何なのでしょうか。お忍びでしばしば来日しているゲイツ氏は、大の和食ファンでもあります。軽井沢にも大豪邸を所有しているようですが、日本の穀物や野菜、果物等の種子(タネ)を買い漁り、ノルウェーの氷で閉ざされたスピッツベルゲン島に「世界最大の種子貯蔵庫」を建設、維持していることは、あまり知られていません。
もちろん、彼が収集、保管しているのは日本の種子に限らず、世界中で安全、安心、高品質と評価の高い農作物の種子を大量に買い付けています。思い起こすのは、ゲイツ氏がTEDトークでも繰り返した「世界では人口が増え過ぎた。このままではもうじき90億人に達する。食糧不足から対立や戦争も起きかねない。人口を早急に抑制し、少なくとも15%は減らす必要がある」。ワクチン製造にせよ、種子や農地の買収にせよ、なにやらきな臭い限りです。
種子を制する者は人類を制す
国連は「30年までに世界から飢餓をなくす」と宣言。その目標を達成するためにも、この厳寒の地に建設された種子バンクの使命は大きいと思われます。多くの国が種子を提供すると同時に、この施設の建設や維持管理のコストを負担していることからも、この構想への期待の大きさがうかがわれます。しかも、こうした政府からの資金とは比較にならないほど多額の資金を提供しているのが、世界の3大種子メーカーなのです。もちろん世界最大の慈善団体である「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」もこの事業には深く関与し、多額の資金提供を行っています。
かつてノーベル平和賞を受賞したアメリカの元国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏曰く「アメリカの第三世界外交の最大の要(かなめ)は人口抑制策である。アメリカが必要とする天然資源の多くは発展途上国に眠っている。石油を支配する者は国家をコントロールできる。食糧を支配できれば、人類をコントロールできる」。その食糧をコントロールするのが種子であることは明らかです。
このタネをめぐる争奪戦が静かに始まっています。遺伝子組み換え種子の最先端の研究はアメリカの国防総省が主導しているのです。なぜなら、「コロナウイルス禍が終息した後には食料危機が待ち構えている」とのシナリオが描かれており、敵対国家には種子の提供を拒否することもできるとの目論見があるからに違いありません。さらには、ゲイツ氏は遺伝子組み換え技術を活用した人工肉の開発にも成功しています。「インポッシブル・フーズ」と呼ばれ商品化していますが、主に大豆を原料に人工の牛肉や豚肉らしい食品を売り出し、大成功を収めているのです。
こうした種子の遺伝子情報を国際特許で押さえてしまったゲイツ氏のビジネス感覚は、マイクロソフト時代にウィンドウズでOSの世界標準を押さえた発想に通じるものがあります。将来、人類が人口爆発や食糧危機という異常事態に直面することを想定し、「最後に笑うのは自分だ」との野心家らしい思いが伝わってくるではありませんか。
(つづく)
浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月自民党を離党、無所属で総務大臣政務官に就任し震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。著作に『イーロン・マスク 次の標的』(祥伝社)、『封印されたノストラダムス』(ビジネス社)など。