2024年04月27日( 土 )

不登校生徒支援の立花学園、前理事長へ不明朗な支払い?(後)

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念書に貝原前理事長の会社に1億5,000万円の支払いなどを約束
 齋藤眞人理事長が貝原前理事長に差し入れた2通の念書のうち1通は、当時貝原氏が代表を勤めていたリゾートホテル会社と行政教育関係部門らとの契約ができなくても、1億5,000万円を支払うという内容で、「学校法人立花学園 立花高等学校 理事長校長 齋藤眞人個人」が全責任を持つと記されている。
 またもう1通には、2011年度までにリゾート会社に契約金1億5,000万円を支払うことや、貝原氏に同年退職金として3,000万円、功労金として2,000万円を支払うことなどを約束している。
 いずれも、「学校法人立花学園 立花高等学校 理事長 斎藤眞人」の記名押印があり、立会人として福岡県弁護士会所属の弁護士が記名押印している。
 念書のほかに、NetIB-NEWSは、学校法人立花学園とリゾートホテル会社との間で締結した契約書も入手した。同契約書は、同ホテルを立花学園の教職員・生徒の研修施設として利用するという内容で、契約料1億5,000万円などと取り決めている。

 立花学園の収入に比べて、あまりにも大きな金額だ。貝原氏のさまざまなトラブルに巻き込まれ、学校立ち退きに瀕した不正常な体制と決別する「手切れ金」としても高額だ。

立花学園からの回答

 立花学園は、齋藤理事長体制になって、特色ある教育方針と国・県の補助金の積極的活用などで、貝原前理事長時代には危ぶまれていた経営基盤を安定させた。
 不登校支援を充実させるとともに、民主党政権時代に成立した公立学校学費無料化とあわせて導入された高等学校等就学支援金制度(就学支援金)を活用。現在、老朽化した校舎に代わって建築工事中の新校舎建設(耐震改築)でも、平成26年度補正予算で新設された耐震改築工事補助事業(国が3分の1、県が6分の1を補助)を活用している。
 現在の経営状況には、2015年3月期の売上高は約4億1,987万円、当期利益は約2,635万円、繰越金約7,265万円、総資産は約8億8,816万円。

 2通の念書や契約書の内容や支出の事実などについて取材を申し込んだところ、立花学園は文書で回答し、「当法人と先方当事者同士に関わる内容であり、双方の代理人同士で幾度も折衝を行っております。よって、第三者の方にお答えする必要はないと考えております」「御社の(略)記事の通り、旧体制時代には学校の立ち退きと言う危機的状況に瀕していた本学が、現体制化で劇的に諸問題を解決させ、新校舎の建設と言う状況にまでたどり着くことができました」と述べている。
不登校生徒のかけがえのない「拠り所」
 不登校生徒の高校進学率は、1993年度の調査と2006年度の調査を比較すると、65%から85%に向上し、高校中退率は約4割から14%に改善。支援が充実している高校が増えている。不登校生徒を受け入れ、支援に取り組んでいる高校が増加した結果だ。福岡県内でも、どの私立高校も一般的には不登校生徒を受け入れ、支援しているという。
 だが、教育関係者によれば、不登校生徒の現実的な受け皿としては、立花高校を含む、私学2校、公立1校というのが実情だ。

 一方、全国では、1,000人あたり不登校生徒数は、2012年度まで減少傾向だったのがそれを境に上昇に転じた。一方、福岡県では全国で減少した時期も増加傾向が続き、14年度には1,000人あたり12.6人。中学校の不登校生徒数は4,000人台が5年以上続いている。
 不登校生徒と家族にとって、立花高校は、なくてはならないかけがえのない「拠り所」になっている。
 取材に対する立花学園の回答は、次のように結ばれている。
 「これからも不登校生徒に寄り添うセーフティネットとして真摯に教育活動に取り組み、福岡の教育に微力ながら貢献して参る所存でございます」(学校法人立花学園理事長齋藤眞人)。
 学校法人として、旧体制の負の遺産を精算し、どのような舵取りを進めるのか。真価が問われている。
(了)
【山本 弘之・道山 憲一】

 

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