今を生きるすべての親と祖父母たちが、気づく必要がある。子どもは甘やかす時代になった。もちろん、いうことを何でも聞いてやるという意味ではない。子どもの成長のために、家庭で何ができるだろうか。家族の立ち位置を、私が尊敬する黒川伊保子さんの著書から学んでみたい。今回参照したのは“トリセツ”シリーズ。「孫のトリセツ」「娘のトリセツ」「息子のトリセツ」の3点だ。
ヒトの取り扱い
子どもが自分の思い通りにならないとき、母親はイラつきが始まる。まるで自分の手足が思い通りに動かないようなもどかしさで焦燥感に襲われ、父親もまた人生最大の責任を自覚して、子どもを諭してやろうと奮い立つ。親というのは、子どもに入れ込み過ぎる生き物だ。
ヒトの脳には、「ゴール指向型」と「プロセス指向型」という2つの思考回路が内在しているという。元来、子育ては「ゴール指向」で行われるもの(正しいやり方を教えて躾けて、さっさと一人前にするもの)だったが、AI時代に人類に求められる能力は「プロセス指向」でしか伸ばせないというのは、脳科学・人工知能研究者の黒川伊保子さん。そして脳の特性上、親が「ゴール指向型」に、祖父母が「プロセス指向型」になる傾向があるという。つまり、ここにきて祖父母のセンスが子育てのカギになりつつあるのだ。
20世紀の子育ては「躾けて、いい子にすること」だった。親や学校、社会が(子どもにしてみれば)勝手にルールを決めて、ルールを順守できなければ頭ごなしに叱られる。私たちはそうやって育ったし、昭和生まれ世代の多くは、そんな幼少期を過ごしてきたのではないだろうか。おかげでこの世代は、「自己所有感」が低い傾向にあるという。
孫の親たちを見守る
親は子にイラつくもの。だから、親はつい子どもの無邪気な質問を粗雑に扱ったり、遠ざけたりしがちだけど、祖父母はその傍らで、おおらかに受け止めればいい。幼児に人生コスト(時間、手間、意識、金)をかけ過ぎると、脳がヤバいと感じてイラつく親たちだけに、孫を任せておくわけにはいかない。というわけで、祖父母は基本、甘やかし役に回るべきだろう。その際、孫よりもっと甘やかすべき人―それが孫の親たちである。つまり孫の親たちに「自分時間」をつくってあげること。それが、孫育てに参加するための初期設定だ。
世間体を気にし過ぎる親に育てられると、子どもの脳は「この世の主体は世間であって、自分は...

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