イオンとクスリのアオキが提携解消、業界再編の新局面へ

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 イオンは1月9日、長年提携関係にあったクスリのアオキホールディングス(以下、クスリのアオキ)との業務提携を解消すると発表した。同時に、15日付でイオンの岡田元也会長がクスリのアオキの社外取締役を辞任することも明らかにした。 

 これに対し、クスリのアオキは当初「提携解消を当社が決定した事実はない」と反発したが、16日には一転、取締役会で資本・業務提携の終了を決議したと発表。2003年から約23年続いた協力関係は、事実上の決裂というかたちで幕を閉じた。

 両社の関係悪化の発端は、イオンによる株式買い増しにあった。イオンは2025年11月までにクスリのアオキの株式を買い増し、連結子会社であるツルハホールディングスの保有分と合わせると、クスリのアオキがイオンの持分法適用関連会社となる水準に達した。

 この動きに、独立志向の強いクスリのアオキ経営陣が強く反発。無断での買い増しに不信感を募らせ、イオンが派遣する取締役の辞任やグループ保有の議決権比率引き下げを要求した。こうした一連の経緯が、イオン側の「ガバナンス(企業統治)」を理由とした提携解消につながったとみられる。

 クスリのアオキは提携解消と同時に、買収防衛策の導入も発表した。これは筆頭株主である投資ファンド、オアシス・マネジメント(以下、オアシス)を念頭に置いた措置と考えられる。

 防衛策の内容は、特定株主グループが議決権割合20%以上の取得を目指す場合、事前の意向表明書類の提出を義務付け、応じない場合はほかの株主へ無償で新株予約権を割り当てるというもの。

 オアシスは23年に5.5%のクスリのアオキ株を取得し、25年9月には筆頭株主に浮上。その間、社外取締役の選任や創業家の経営関与を求める株主提案を提出したが、いずれも否決され、両社は事実上の対立関係にある。

 イオンは株式保有を継続する方針を表明しており、今後オアシスとともに買い増しを進める可能性も指摘される。クスリのアオキは背水の陣で臨む構えだが、先行きは不透明だ。

 ドラッグストア業界では成長鈍化と大手による寡占化が進み、M&Aや業務提携の動きが活発化している。

 イオンは25年12月、ツルハホールディングスとウエルシアホールディングスの経営統合を実現し、26年1月に連結子会社化。売上高2兆円超の業界首位の座を確立した。さらに32年2月期までに売上高3兆円を目指す壮大な計画を掲げている。

 一方、クスリのアオキは単独での生き残りをかけ、35年2月期に売上高を現在の倍となる1兆円に引き上げる目標を設定。独立路線を堅持する姿勢を鮮明にしている。

 イオンは今後もクスリのアオキに対して何らかのアクションを起こす可能性が高い。オアシスの動向も絡み、業界再編の新たな局面を迎える確率は高いとみられる。

 ドラッグストア業界における覇権争いは、単なる企業間の対立を超え、日本の小売業界全体の勢力図を塗り替える可能性を秘めている。今後の展開から目が離せない。

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