2025年下半期 福岡市の開発動向(前)

ホテル新設 コロナ前を超える

 福岡市内に設置された標識情報を基に、市内における2025年下半期(7~12月)の開発動向を追った。共同住宅(木造を除く)の計画戸数は4,251戸で、25年上半期(1~6月)比で248戸の減少となった。総戸数100戸超の計画は25年上半期同様7棟だったが、計画戸数50戸以上100戸未満の物件が減少したことが一因。100戸超の計画に関しては、(株)LANDICが(仮称)築港本町計画新築工事(ワンルーム104戸/設計者:(有)宮津建築設計室)とアソシア博多翠景(仮称)(ワンルーム外115戸/設計者:(株)アーキスタイル)の2棟を計画するほか、九州旅客鉄道(株)による(仮称)RJR馬出2丁目計画(ワンルーム112戸数・ワンルーム外28戸/設計者:(株)フレームワークス)や(株)ワコーエステートによる(仮称)築港本町マンション8新築工事(ワンルーム120戸・ワンルーム外18戸/設計者:(株)おおたに設計)など、地場企業による計画が目立った。また、エリアごとに見ると博多区4棟、中央区1棟、東区1棟、西区1棟と、上半期に続いて大型物件の計画が博多区に集中する結果となった。

表1

 25年上半期比で計画戸数が増加したのは、市内7区中5区。博多区の計画戸数は114戸増となり、1,700戸を突破。博多区は21年以降、計画戸数が1,000戸超で推移してきており、市内随一の人気エリアとしての地位を維持している。以下、南区73戸増、早良区59戸増、城南区10戸増、西区5戸増と続く。城南区は上半期に引き続き計画戸数が100戸を超えたほか、早良区は22年下半期以来の400戸超えとなった。(【表1】参照)。

 マンション以外で目立つのがホテルだ。コロナ禍前の19年の計画棟数は41棟、20年以降は大きく落ち込むも、24年に18棟まで回復し、25年は49棟とついにコロナ禍前を超えた。25年下半期に判明した計画のなかで注目されるのが、(株)インヴァランス(東京、大東建託グループ)による(仮称)福岡(中洲)アパートメントホテル(RC造・地上11階建、客室数66室、延床面積2,791.82m2/営業予定者:インヴァランス)。(株)日建ハウジング(沖縄)による(仮称)清川二丁目ホテル(RC造・地上10階建、客室数69室、延床面積3,360.92m2/営業予定者:(株)Satisfill)。民泊施設では大英産業(株)(北九州)による(仮称)福岡市博多区古門戸民泊(S造・地上4階建、客室数6室、延床面積284.37m2/営業予定者:(株)BEAD)など、地場企業による計画も散見されたが、ホテルは県外企業による計画が目立った。このほか、明治自動車(株)(大阪)による倉庫・(仮称)東比恵4丁目計画(S造・地上2階建、延床面積812m2)や、(学)愛和学園による(仮称)愛和学園堅粕校(RC造・地上10階建、延床面積1,567.78m2)、(株)オフィスエムによる(仮称)土井2丁目有料老人ホーム(RC造・地上4階建、延床面積4,998.22m2)など、多彩な物件が計画されている。延床面積の合計は25年上半期比で28万4,096.54m2増となるなど、当面、県内外の企業による福岡市内への旺盛な不動産投資は続いていくものと推察される。

表2

博多区
計画は1,700戸を突破

 25年下半期の計画戸数は1,718戸で、上半期比で114戸増となった。博多駅南や住吉、東光寺町など、JR博多駅周辺エリアでの計画はもちろんのこと、古門戸町・神屋町といった博多旧市街エリアや、西鉄天神大牟田線・雑餉隈駅側の銀天町でも複数棟の計画が確認された。エリア全体を対象に企業や投資家の投資意欲が高まるなか、ホテルも19棟計画されており、好調なビジネス需要や観光需要の受け皿として、また、収益性に期待できる投資先として、ホテル開発が熱を帯びている。

(仮称)福岡市博多区古門戸民泊 25年8月撮影
(仮称)福岡市博多区古門戸民泊 25年8月撮影

 下半期に明らかとなった計画のなかで注目されるのは、ファーストコーポレーション(株)(東京、東証スタンダード)がJR博多駅・東比恵駅から徒歩15分圏内の博多駅南のコインパーキングで計画している、(仮称)博多駅南3丁目計画。建築物の概要はRC造・地上11階建、延床面積1,688m2、ワンルーム40戸。設計者はAya建築設計 一級建築士事務所で、26年3月頃の着工を予定している。地下鉄空港線・中洲川端駅から徒歩5分圏内のホテルオークラ福岡の側では、個人による(仮称)下川端町岩田ビルが計画されている。建築物の概要は、RC造・地上10階建、延床面積1,503.71m2のワンルーム32戸・ワンルーム外1戸で、設計者は上村建設(株)となっている。

 このほかにも、(株)ラ・アトレ(東京)が地下鉄箱崎線・呉服町駅側で計画するホテル・(仮称)上呉服町プロジェクト(RC造・地上5階建、客室数17室、延床面積534.90m2/営業予定者:Local Design(株))や、プレナス福岡本社跡地で大和ハウス工業(株)九州支社が計画・設計する事務所や飲食店が入居予定の(仮称)上牟田1丁目複合ビルプロジェクト(S造・地上5階建)などがある。

東区
人口34万人超を維持

 25年上半期比で289戸減の469戸にとどまった東区だが、区内の人口は34万1,927人(福岡市推計人口・26年1月1日現在)で市内最多。出生数も市内最多の214人(福岡市人口動態・25年12月中)で、市外からの転入者数は942人(同)で市内7区中、博多区に次いで2番目に多く、市内におけるボリュームゾーンとして存在感を発揮し続けている。九州大学箱崎キャンパス跡地で進む国内最大級のスマートシティ開発や、これに関連して発表された27年開業予定のJR鹿児島本線の新駅・JR貝塚駅など、インフラの充実を含む新たなまちづくりに対する期待感も高い。

アクロス箱崎宮前レイスマート 25年8月撮影
アクロス箱崎宮前レイスマート 25年8月撮影

    注目されるのは、(株)福岡地行によるアクロス箱崎宮前レイスマート。地下鉄箱崎線・箱崎宮前駅から徒歩5分程度の馬出東浜線沿いで計画されており、建築物の概要は、RC造・地上9階建、延床面積2,075.94m2、ワンルーム外24戸。設計は(有)井上長年設計事務所、施工は成和建設(株)で、12月下旬頃の竣工を予定している。このほか、(株)マリモ(広島)による(仮称)アルティザ香椎駅前(RC造・地上14階建、延床面積864.92m2、ワンルーム26戸)や、作州商事(株)によるエイルジェニ千早(RC造・地上9階建、延床面積2,453.10m2、ワンルーム外35戸)などが計画されている。

(つづく)

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