建設業の魅力を体感 福岡第一高で「学校キャラバン」

建設業の役割を学ぶ

 建設業界の担い手確保を目的とした「学校キャラバン出前授業」が6月5日、(学)都築学園・福岡第一高等学校で開催され、建築デザイン科の2年生38人が参加した。うち4人は女子生徒で、建設業が性別を問わず活躍できる仕事へ変わりつつあることも印象づけた。

 主催は建設産業専門団体九州地区連合会(以下、建専連九州)と国土交通省九州地方整備局。少子高齢化により建設業の人手不足が深刻化するなか、若い世代に業界の役割や仕事の魅力を伝えることが狙いだ。

建専連九州・宮村博良会長
建専連九州・宮村博良会長

    冒頭、建専連九州の宮村博良会長は「学校、道路、コンビニ、スマートフォンの電波塔まで、私たちの暮らしを支えるものはすべて誰かが作っている」と語り、建設業が社会インフラを支える産業であることを強調した。そのうえで「皆さんと一緒に、良い業界をつくっていきたい」と呼びかけた。

 九州地方整備局の角英幸建設産業調整官は、法隆寺の五重塔や東京スカイツリーを例に、日本の建設技術が長い歴史のなかで受け継がれてきたことを紹介した。五重塔の心柱構造が、現代の高層建築にも通じる考え方であることを説明し、職人技術の継承が現代の建設にも生きていることを伝えた。

4工種を実地体験

道路標識・標示 道路標識・標示
道路標識・標示

 実習では、道路標識・標示、足場・鳶、鉄筋、型枠の4工種を体験した。道路標示では、手押しライナーを使って路面にラインや矢印を描く作業に挑戦。足場では、ミニチュアの単管パイプとクランプを使い、足場の組み立てを学んだ。鉄筋では、ハッカーと呼ばれる工具を使って鉄筋を結束。型枠では、コンクリートを流し込む型をつくるための釘打ち作業を体験した。

 生徒たちは、実際に道具を扱うことで、見た目以上に繊細な力加減や正確さが求められることを実感した。「やってみると楽しかった」「思ったより力が必要だった」「釘をまっすぐ打つだけでも難しかった」「上手に鉄筋を結束できたのが良かった」「職人さんは簡単そうにやっていたが、自分でやると全然違った」といった声が聞かれた。

足場・鳶 足場・鳶
足場・鳶

進路選択のきっかけに

 建設業は、かつて「きつい」「危険」「汚い」といったイメージで語られることも多かった。しかし現在は、安全対策や働き方改革、ICT・DXの導入が進み、現場の在り方は大きく変わりつつある。今回の授業でも、水分補給や安全確認の重要性が繰り返し説明され、現代の建設業が安全管理を重視していることが示された。

鉄筋
鉄筋

    進路に悩む生徒にとっても、今回の体験は大きな意味を持った。ある生徒は「工業に進むか、農業に進むかで迷っていたが、実際に体験して仕事のイメージが少し具体的になった」と話した。別の生徒は「建設の仕事は力だけでなく、考える力や正確さも必要だと分かった」と語った。

型枠
型枠

    女子生徒の参加も、建設業界の変化を象徴している。建設現場では、重機操作、施工管理、測量、設計、ICT活用など、体力だけに頼らない仕事も増えている。繊細な作業や管理能力が求められる場面も多く、女性が活躍できる領域は広がっている。

 今回の学校キャラバンは、単なる職業体験にとどまらない。建設業が地域の道路、橋、学校、住宅、公共施設を支える仕事であり、災害時には復旧・復興の最前線に立つ産業であることを伝える機会となった。

 産・官・学が連携して若い世代に技術と仕事の魅力を伝える取り組みは、将来の担い手確保に直結する。生徒たちが道具を握り、現場の仕事に触れた経験は、建設業を身近な進路の選択肢として考えるきっかけとなりそうだ。

【内山義之】

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