清水建設「耐震欠陥マンションでも『安全』」は本当か?(要約)“違法だが安全”という説明は成り立つか
AMT一級建築士事務所代表
都甲栄充 氏
間違った計算法
清水建設が設計、施工、工事監理、販売を担った仙台市の「オール清水」のマンションで耐震上の施工不良が見つかった問題で、清水建設が「耐震上、安全だった」と開き直りともとれる再評価をした計算方法の根拠に複数の専門家から異論が出ている。計算方法に当てはめるルールを逸脱し、重要用語の定義すらはき違えている公算が高く、信ぴょう性に疑問が浮き上がる。監督官庁の仙台市は「民間のことは民間任せ」の態度を決め込んでいるようで、マンション住民が、この報告書で「納得」してしまえば、悪質性の有無に関係なく問題は幕引きに向かいそうだ。計算方法の疑問点を洗い出した。
以下の文章は、6月6日から6月8日に掲載された『清水建設「耐震欠陥マンションでも『安全』」は本当か?』(1)~(3)を生成AIで要約したうえで、一部表現を修正したものである。
前提は欠陥マンション
このマンションでは、本来あるべき「耐震スリット」の大半が施工されていなかった。
その数は522カ所中474カ所。約90.8%。設計図や確認申請には「施工する」と記載されていたにもかかわらず、実際にはほぼ存在していなかったため、建築基準法違反は避けられない。清水建設自身も非を認め、修繕工事を行っている。問題は、その先にある。
「違法だった」が、「安全だった」は本当か
清水建設は、「スリットはなかったが、建物の安全性は確保されていた」と説明している。つまり、「法令違反はあった。しかし建物は危険ではなかった」という主張である。これが今回の最大の争点だ。
そもそも耐震スリットとは何か
耐震スリットは、地震の力から柱や梁を守るための“クッション材”である。
簡単にいえば、「地震の揺れを適度に受け流し、建物の重要部分が壊れるのを防ぐ装置」だ。阪神・淡路大震災以降、多くのRC造マンションで採用されるようになった。
マンションは20年以上前に建設され、一部の住民からたびたび施工不良を指摘する声が上がっていた。清水建設が施工ミスを認めたのは施工から20年以上経ってからだった。それまで清水建設は、存在しないスリットが、あたかも存在しているような説明を住民に繰り返していた。施工不良を認めた時点では、改正前民法上の不法行為責任が問われる20年を過ぎていた。
「善意」はどこまで
清水建設が改修工事に応じたのは「善意」「義理」と評価していい。問題はこの「善意」が十分か否かである。
ポイントは
・法的責任があった時期に問題をはぐらかした(責任回避の疑い)
・東日本大震災など大地震の際に修繕工事に膨大な金額を要した(因果関係)
現状で問題が解決したのだから、これでおしまいにするか、過去の部分に対しても道義的責任を全うする「善意」「義理」を広げるかである。
清水建設は建物の耐震上の安全性について、建設当初から問題がなかったというスタンスをとり、問題は完全解決済みの立場だ。その根拠にもなるのが、耐震安全性を計る「計算法」だ。
問題は「計算方法」にある
清水建設は建物の安全性を説明するために、マンションの建設当時の設計で使われた計算法ではなく、後年に導入された別の計算法を用いた。もちろん、新しい計算法を使うこと自体が違法なわけではない。問題は、その計算法の前提条件を満たしていない可能性があることだ。
「耐震スリットがある」前提の計算だった
清水建設が用いた「限界耐力計算法」は、建物が地震でどれだけ揺れ、それに柱やはりなどの部材が耐えられる「限界」の「変形」を重視する計算方法である。ところが、この計算をする際に使う指針書は「耐震スリットが施工されている建物」を前提としている。つまり、スリットがない建物を、その計算方法で評価できるのかという根本問題が生じる。
最大の疑問点
専門家がとくに問題視しているのは、限界耐力計算法で必要な「変形量に応じたせん断強度」の検討が清水建設の報告書で確認できない点だ。これは簡単にいえば、“どれだけ曲がったら、柱やはりが壊れるのか”という核心部分である。ここが示されなければ「どのくらい安全だった」という程度が分からず、結論としての「安全だった」の根拠も不十分になる。
日本建築センターも疑問を投げかけていた
報告書の妥当性を審査した(財)日本建築センターも、遵法性を調査する項目で「柱、梁のせん断力について主筋の上限強度を考慮した靭性指針式による検討について説明してください。(限界耐力計算に求められる確認事項)」と、清水建設に説明を求めた。言い換えれば、限界耐力計算法を使う上で、「キホンのキ」を守るよう疑問を投げかけた。清水建設から、それに対する真正面からの回答が得られないまま、日本建築センターは最終的に適合性を認めた。理由は不明だ。
途中で“計算ルール”が変わっている
清水建設の回答は、「当時の法規に基づいて確認した」となっている。「限界耐力計算法」を使うといいながら、日本建築センターから説明を求められると、「限界耐力計算法」を放棄しているのだ。ここが、専門家が強く疑問視している点である。限界耐力計算を使うといいながら、何も計算していない可能性があるのだ。
なぜ行政は動かないのか
仙台市は「民間同士の問題」という姿勢を崩していないようだ。清水の報告書への疑問点を筆者は仙台市、日本建築センターの双方に投げかけたが、どちらからも回答は来ていない。
そもそも、この怪しい報告書の発端は仙台市が建築基準法12条5項に基づき、清水建設に「どれくらい危険だったか」を証明させようとして始まったように見える。耐震スリットが入っていない建物が、どれだけ危険かを数値化しようとしたら、本物そっくりの建物をつくって実験を重ねなければならなくなってしまうだろう。実験なしに説明をしようとしたら、どこかで無理が生じるだろうし、無理筋のものを「正しい」と説明しようとしても、ちぐはぐになってしまう。報告書は、その矛盾がにじみ出ているようにもみえた。
最後に
専門家への取材、技術資料の検証、計算手法の確認を重ねたうえで、「本当にこの説明で安全だったと言い切れるのか」という疑問を整理してきた。判断は読者に委ねたい。








