全東信破産で中小企業支援 福岡県・福岡市がセーフティネット保証1号対応、資金繰り相談窓口も
全東信をセーフティネット保証1号に指定
クレジットカード決済関連サービスを手がけていた(株)全東信の破産手続開始決定を受け、国は7月31日、同社をセーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)の指定事業者に指定した。
これを受け、福岡県と福岡市は、同社との取引で売掛金債権等を有し、資金繰りに支障をきたす中小企業に対し、制度融資による支援を実施する。県は「緊急経済対策資金」、市は「経営安定化特別資金(特例枠)」を用意し、金融相談窓口も設置している。
セーフティネット保証1号の指定期間は、2026年7月6日から27年7月5日まで。対象となる中小企業者は、全東信に対して50万円以上の売掛金債権等を有する事業者、または売掛金債権などが50万円未満であっても、全東信との取引規模が20%以上である事業者となる。同保証は、大型倒産事業者に対して売掛金債権を有していることで経営の安定に支障が生じている中小企業者に対し、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で保証を行う制度だ。
県は「緊急経済対策資金」で支援
福岡県は、セーフティネット保証1号の認定を受けた中小企業に対し、県制度融資「緊急経済対策資金」による低利融資を行い、円滑な資金繰りを支援する。
県制度融資の条件は、融資利率1.3%、保証料率0.8%、融資限度額1億円、返済期間10年以内、うち据置2年以内。資金使途は運転資金としている。
申込先は、取扱金融機関、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会。県は、関係機関と連携して金融相談窓口も設置した。
県の金融相談窓口は、商工部中小企業振興局中小企業経営支援課金融係、久留米、福岡、北九州、飯塚の各中小企業振興事務所に設けられる。関係機関として、福岡県信用保証協会、福岡県中小企業振興センター、各商工会議所、各商工会、福岡県商工会議所連合会、福岡県商工会連合会、福岡県中小企業団体中央会も対応する。
設置期間は7月31日から当面の間。受付時間は平日午前9時から午後5時まで。
福岡市は「経営安定化特別資金」の特例枠
福岡市も7月31日、全東信の破産の影響を受けた市内中小企業の資金繰り支援を発表した。
市の資料によると、全東信が7月6日に破産手続開始決定を受けたことにともない、同社はセーフティネット保証1号の事業者に指定された。これにより、要件を満たす市内中小企業は、福岡市商工金融資金制度の「経営安定化特別資金(特例枠)」を利用できる。
同資金の融資条件は、使途が設備資金・運転資金、融資限度額1億円、融資期間10年以内、うち据置2年以内。融資利率は1.3%、保証料率は0.40%となっている。保証人は、個人は原則不要、法人は原則として代表者。担保は必要に応じて求められる。
県制度融資と比較すると、融資利率、融資限度額、融資期間はいずれも同水準だが、福岡市の特例枠では保証料率が0.40%とされている点が特徴となる。
市内事業者は福岡市で認定申請
福岡市のセーフティネット保証1号の認定要件は、まず福岡市内に事業所を有すること。そのうえで、全東信に対して50万円以上の売掛金債権を有していること、または全東信に対する売掛金債権が50万円未満、ただし1円以上であっても、全東信との取引規模が20%以上であることが必要となる。
取引規模20%以上かどうかは、直近の決算書における売上高等で判断する。
申込手順は、まず福岡市へセーフティネット1号の認定を申請する。市が要件を確認した後、認定書を発行する。その後、市が発行した認定書と申込書類一式をそろえ、福岡市商工金融資金の指定金融機関へ申し込む流れとなる。
認定申請の窓口は、福岡市中小企業サポートセンター。所在地は福岡市博多区博多駅前2-9-28、福岡商工会議所ビル2階。受付時間は平日午前9時から午後4時30分まで。
中小加盟店の資金繰りに焦点
今回の支援策は、全東信の破産により、売掛金債権等を抱えた中小企業の資金繰り悪化を防ぐことを目的としている。
全東信は、クレジットカード決済および付帯サービスを手がけていた事業者であり、同社の破産は、決済取引に関わる事業者に影響をおよぼす可能性がある。特に中小店舗にとって、クレジットカード決済分の入金遅れや未回収は、日々の仕入れ、人件費、家賃、借入返済などに直結する。
セーフティネット保証1号は、こうした連鎖倒産を防ぐための制度であり、通常の保証枠とは別枠で信用保証を受けられる。県や市の制度融資と組み合わせることで、短期的な資金繰りを支える枠組みとなる。
一方で、制度を利用するには、売掛金債権の存在や取引規模を示す書類が必要となる。全東信との取引がある事業者は、破産債権届出書、売掛金元帳、得意先別売上台帳、決算書など、関係書類を早めに整理する必要がある。
相談先の使い分けを
福岡県内の事業者は、県の相談窓口、福岡県信用保証協会、商工会議所、商工会などに相談できる。福岡市内に事業所を有する事業者で、市の制度融資を利用する場合は、福岡市中小企業サポートセンターでセーフティネット保証1号の認定を受けたうえで、指定金融機関へ申し込む。
県と市の制度は、いずれも全東信の破産による資金繰り支援を目的としているが、申込窓口や保証料率、必要書類の確認方法に違いがある。対象事業者は、自社の所在地、利用したい融資制度、既存の取引金融機関との関係を踏まえ、早めに相談することが重要となる。
<福岡県の主な相談窓口>
商工部中小企業振興局中小企業経営支援課金融係
TEL:092-643-3424
久留米中小企業振興事務所
TEL:0942-33-7228
福岡中小企業振興事務所
TEL:092-622-1040
北九州中小企業振興事務所
TEL:093-512-1540
飯塚中小企業振興事務所
TEL:0948-22-3561
<福岡市の認定・相談窓口>
福岡市中小企業サポートセンター 金融相談窓口
所在地 :福岡市博多区博多駅前2-9-28
福岡商工会議所ビル2階
受付時間:平日午前9時~午後4時30分
TEL :092-441-2171
【寺村朋輝】









