糸島の観光資源を次世代に 駐車場有料化進む

二見ヶ浦側の有料駐車場
二見ヶ浦側の有料駐車場

有料化から3年経過

 糸島市では、道路交通の円滑化と良好な駐車環境の提供、そして市民や観光客の利便性の向上を図る目的で、観光スポット側の駐車場(市管理)の有料化を進めている。2023年4月には二見ヶ浦公園聖地(霊園)下の、夫婦岩側に位置する駐車場を有料化。公募型プロポーザルの結果、指定管理者にはJR九州レンタカー&パーキング(株)が選定された。

 同駐車場は47台が駐車可能で、24時間利用できる。料金は1時間ごとに300円(最大料金なし)だが、入庫から10分以内は無料で、原動機付自転車(排気量50cc以下)および自転車については無料で利用可能。無料開放していた当時は、長時間駐車や出庫待ちの車両による渋滞発生などが問題視されていたが、有料化により渋滞緩和も進んでいる。

 指定期間は28年1月31日までで、回転率は計画値で9.00/日だった。市公表の指定管理者評価シートによると、23年度の実績は9.31/日、24年度は8.45/日となっており、24年度に回転率が低下した理由として、周辺に他社駐車場が整備されことを挙げている。47台駐車可能なため、23年度は約438台/日、24年度は約397台/日の利用があったと考えられる。全車が1時間以内で出庫し、かつ10分以内の無料退場がほぼなかったと仮定した場合、同駐車場の利用料金収入は最低でも約11~13万円/日、約4,350~4,790万円/年が見込まれる。二見ヶ浦にはレストランやカフェ、夫婦岩などのフォトスポットが複数あり、実際には駐車してからの飲食や散策の時間が相応にあると考えられるため、駐車時間が1時間未満(利用料金300円)のケースはそれほど多くないと思われる。利用料金収入が6,000万円~/年(回転率8.45/日の場合)の可能性も十分に考えられる。なお、当時の指定管理者募集要項には、指定期間内における市が負担する指定管理料の上限額として7,215万7,800円(税込)と記載されていた。

 有料化に際して、ゴミ拾いのボランティアや、地域の行事での駐車については、事前に減免申請を市(ブランド政策課観光振興係)へ申請して承認を受ければ、駐車料金が減免(無料)となるなど、地元住民への配慮もなされた。有料化による観光スポットの回遊性向上はもちろんだが、今後は利用料金収入が景観保全などの観光資源を次世代に残すための取り組みに還元されることを期待したい。

白糸の滝は有料化検討

 糸島市の観光スポットで、やまめ料理などが楽しめる食事処「四季の茶屋」を擁する白糸の滝ふれあいの里には、現在無料駐車場があるが、市では持続可能な観光地づくりを進める目的で、同駐車場の有料化を検討している。市の公表資料によれば、白糸の滝ふれあいの里への入込客数は25年度(26年2月末時点)で24万5,275人。白糸の滝周辺においては、とくに7~8月の夏休み期間中、駐車場の空きを待つ車列が2kmを超え、最大2時間30分程度の待ち時間が発生するなど、渋滞緩和に向けた取り組みが求められていた。

 有料化が検討されているのは、第1~第3駐車場(合計約80台)で、第4~第5駐車場については有料化の予定はないとしている。市は、民間事業者から広く意見や提案を集める目的で、今年5月にサウンディング型市場調査を実施し、結果を公表。これによれば、契約形態については賃貸借契約の場合、固定賃料により安定した収入が確保できるなど好意的な意見がある一方、来訪者が夏季に集中していることからオフシーズンにおける時間貸需要が低く、業務委託した場合と比較して市側の収入が少なくなるといった意見も出ている。

白糸の滝-第1〜第3駐車場 市公表資料より
白糸の滝-第1〜第3駐車場 市公表資料より

 また、有料化による渋滞緩和への効果については、対象となる駐車台数(約80台)に限りがあるため、駐車場を新設(拡大)しないと効果は薄いのでは、という意見のほか、駐車場の有料化による適正な滞在時間の促進で、観光地全体の流動性が高まるといった意見が出ている。料金設定案としては、基本60分500円で夏の繁忙期は特定期間料金にするといった案や、30分無料で以降1時間ごと500円、2時間まで1,000円など、さまざまな料金案が提案された。このほか、付加価値として繁忙期のキッチンカー受け入れや、宿泊体験、サマーナイトイルミネーションなども提案された。

白糸の滝から少し離れた場所にある遊歩道専用無料駐車場
白糸の滝から少し離れた場所にある遊歩道専用無料駐車場

 観光スポット側の無料駐車場が有料化されれば、駐車場の整備・清掃・案内が行き届くようになり、観光客は安心して利用できるようになる。また、混雑期の長時間駐車が抑えられることにより、空きが見つかりやすくなり、入庫待ちや周辺渋滞の負担の軽減にも期待できる。無料駐車場の有料化は、景観保全と来訪者満足度の両立に向けた、観光地運営の主流になりつつある。

【代源太朗】

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