福岡県議会元副議長・新村雅彦氏、民主系で初の実名での金銭授受証言~来年県議選で旧民主系壊滅の危機に
福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑について、元副議長の新村雅彦元県議が23日午前、県庁で記者会見を開き、2012年5月の副議長就任前に福岡市内の料亭において蔵内勇夫前議長に対し「現金500万円を渡した」ことを明らかにした。
これまで金銭授受について実名証言した吉松源昭・江藤秀之・樋口明の3人の正副議長経験者と、昨日(22日)、農林水産委員長時代に自民党県議団幹部のゴルフ代などを支払ったと証言した井上正文県議はいずれも自民党県議団(吉松氏は離党し保守系の2人会派)だが、新村氏は旧社会党出身で、旧民主系では初の証言となる。
山口大学経済学部を卒業後、福岡市の中学校教職員(社会科)として市内の中学校に勤務し、94年9月に退職した。福岡市教職員組合(日教組系)の専従などを務め、99年の県議選で初当選した。15年まで4期務め、社民党を離党後は民主党県連の幹事長代理などを歴任。県議会会派・民主県政クラブ県議団の幹事長を務め、12年5月から1年間、副議長を務めた。
当社が2010年に新村氏をインタビューした記事で、新村氏は99年当時、社民党の党勢が衰退した中「社民党として出馬したのは、意地とプライドです。結果、500票ぐらいの差(約1万2,500票を獲得)で何とか当選しました」と語っており、思想的には自民とは対極の立場にいた。
会見で新村氏は「蔵内勇夫前議長が近く会見を行うとの情報が伝わってきたため急遽開催した」と理由を述べたが、息子の優氏が福岡市長選の立候補表明を行い、告示まで約1週間というタイミングでの会見に疑問を感じた人は少なくないだろう。
とはいえ、新村氏の証言は金銭授受疑惑について重要な点をいくつか明らかにするものだった。民主系の陰の実力者と呼ばれた吉村敏男元副議長の名前を挙げ、自民幹部と他会派とのゴルフ会「マスターズの会」の費用を吉村氏の指示で支払ったと明らかにした。当時の民主県政クラブ県議団の会長が吉村氏、幹事長は新村氏であった。
吉村氏と蔵内氏が県議会で親密だったと、多くの県議が証言している。新村氏は、吉村氏が副議長就任に700万~800万円を使ったと語っていたことを明かした。また、4期目となり副議長就任期を迎えた新村氏に、吉村氏が就任への意欲を尋ね、後日、新村氏が500万円を用意して蔵内氏に渡すよう指示したという。
さらに新村氏は、「自民党の金銭授受文化を、吉村氏が民主県政クラブ県議団にもってきたが、吉村氏が落選後も会派の院政を敷いていたとすれば、他の副議長経験者も金銭授受を行っているのではないか」と指摘した。
新村氏が教職員だった頃、福岡県では日教組の活動が盛んで、ストライキが頻発し、学校の管理運営や教育内容をめぐる対立が激しかった。新村氏も専従職員になるほど組合活動に熱心に取り組んでいた。自民と、新村氏が所属・支持していた社会党は相いれない立場にあった。しかし、新村氏の県議初当選の4年前、95年に社会党・共産党推薦の奥田八二知事から麻生渡知事に代わって以降、オール与党体制となった。これが、新村氏や吉村氏らが自民党と対峙する批判精神を失った原因だ。
民主県政クラブ県議団の県議のほとんどが「蔵内先生、蔵内先生」と持ち上げてきた。逆に自民会派に不都合な質問を行ったり自民候補と選挙で戦った新井富美子県議のように圧力をかけられ、会派のなかで干されたりする。ある現職の民主系県議は当社の取材に対し「ある労組系の県議にいじめられた」と証言した。
なお、吉村氏は県議会問題がクローズアップされる前、国民民主党県連幹部に選挙のアドバイスをし、他会派とゴルフをすることを自慢していた。そうした慣習や風土に嫌気がさした民主系県議が、蔵内前議長の辞職勧告決議案をめぐる中止動議への対応をきっかけに会派を離脱し、現在、旧民主系は3会派に分裂している。
副議長を出した立憲も国民も金銭授受を否定しているが、新村氏が会見で述べたように、自己保身に走る内部調査には限界があるのだろう。設置された第三者委員会や百条委員会で、真相究明を徹底的に行うべきだ。だが、新村氏の証言は、来春に県議選を控える後輩県議にとって大打撃となることは間違いないだろう。
【近藤将勝】









