2024年05月02日( 木 )

虻蜂取らずの非戦略的外交では朝鮮半島情勢の激変を乗り切れない(4)

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自民党 元副総裁 山崎 拓 氏

現政権が放つ腐臭

 ――安倍政権の支持率は3割程度で推移しており、底を打ったような報道もあります。安倍総理の自民党総裁の三選はありますか。

自民党 元副総裁 山崎 拓 氏

 山崎 あると思いますよ。もともと可能性が高かったわけで、低くはなったとは思いますが。総裁選は自民党のなか、コップのなかでの話ですから。

 ――今、総裁選に名乗りをあげている石破さんや野田さんはどうでしょう。

 山崎 難しいと思います。しかし、出なければ先はない。今度出た人が次はなると思います。総裁選の歴史を見ると、そういう法則になっています。名乗りをあげた人が次になる。小泉純一郎氏は3回目になりましたから。

 ――「モリカケ」をごまかすための解散総選挙はありませんか。

 山崎 意味がありません。解散総選挙をして安倍政権に何のプラスがありますか。解散権をもっているのは安倍総理です。福岡を見ればわかりますよ。11選挙区すべて自民党が勝っています。ほかの選挙区も同様です。選挙をしても「議席を増やす」という要素はまったくありません。むしろ、議席数が3分の2でなくなる可能性が高い。

 ―― 一方、矢面に立ってきた麻生財務相ですが、その発言が問題になっています。麻生氏の辞任はあるでしょうか。

 山崎 辞める・辞めないは、安倍総理が決めることです。ただし、いずれ内閣改造をするでしょうが、また麻生氏を残したらすべてが危なくなります。泣いて馬謖を切らないといけませんね。

 ――麻生さんを切ったら、政権はもたないという見方もあります。

 山崎 それは俗説であって、そんなことはありません。彼のクビを切ったほうが鮮度は上がって政権がもつ。いまは腐臭を放っている、この政権の腐敗の原因は彼にあるとみなして切ったほうが良い。本当は本人(安倍総理)にあるんだけど、それをごまかすためにも。

 ――本来なら、麻生さん自身が自ら辞めるべきだという意見もあります。

 山崎 普通なら辞めますよ。重要官僚である部下のクビを2人も切っている。クビ切るなら自分もやめないと。要するに“常識がない”ということでしょうね。

 ――野党で新たな動きがありますが、どこも支持率は低く、国民の期待を得ているとはいえません。野党の動きはどう見ておられますか。

 山崎 求心力を発揮できる大物リーダーがでてこない限り、野党の再起と躍進は期待できませんね。選挙がポピュリズムの世界になっている以上、国民的人気を博するような者が出てこないとダメです。だから、自民党には小泉進次郎がいる。これは明らかに親父の威光があって人気があると思いますが、そういう人材が野党に乏しい。

 立憲民主党の枝野さんは小回りが効きますが大物感はない。ただし、頭がすごくいい人で、フィリバスター(長時間にわたり討論を続けることで議事進行を意図的に遅延させる行為)を一晩中やったことがあります。安保問題で一晩中演説して、同じことを繰り返して言わなかった。相当な能力があると感心しました。しかし、有能な弁護士ではありますが、政治家としてのオーラに乏しい。

 ――野党側に安倍総理に匹敵するリーダーがいれば、おそらく支持率はもっと下がる。

 山崎 その通りです。小池百合子が期待されたが器量に限界があった。衆院選に立つべきでしたが、「東京都知事を辞めるのは無責任だ」といわれてすくんでしまった。

 ――最後に、安倍政権にアドバイスを。

 山崎 人心一新のための(総理の)交代しかありませんね。

(了)
【文・構成:山下 康太】

 
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