シノケンがMBOで非公開化へ、篠原社長の将来ビジョンとは
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篠原社長は継続してシノケンを経営
8月10日、(株)シノケングループ(東証スタンダード)は「MBOの実施および応募の推奨に関するお知らせ」を発表した。
これによれば、スカイマーク再建などで実績がある投資会社・インテグラル傘下の「SKライフサポート」が、シノケングループの発行済株式をTOBにより取得し、シノケングループは非公開化するという。その後はSKライフサポートを存続会社、シノケングループを消滅会社とする吸収合併が行われる予定だ。ただし、具体的な日程などは未定とのこと。合併後の存続会社は、原則として再上場を目指す意向を有しているようだ。
また、シノケングループの筆頭株主でもある代表取締役社長・篠原英明氏は、引き続き経営にあたるため、一部の所有株式についてはTOBには応募しない予定で、非公開化の手続きにおいて、株式を所有しなくなった場合にも、存続会社(現・SKライフサポート)へ再出資する。なお、6月末時点で所有割合22.6%(自己株式など除く)の株式を保有しているが、合併後の存続会社・SKライフサポートに対する所有割合は8%程度をキープするという。SKライフサポートは、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、新生銀行からの借入れ、ならびにインテグラル、インテグラル4号投資事業有限責任組合、Innovation Alpha IV L.P.およびInitiativeDelta IV L.P.の出資により賄う。
同日、延期していたシノケンリート投資法人の上場についても「新型コロナウイルスの感染再拡大、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米国長期金利の上昇、円安の急激な進行など、経済環境の不確実性は増す一方」とし、今年中の上場は適切ではないと判断したという。それでも、引き続き上場を目指す方針には変わりないようだ。
アパート販売だけでは長期的成長を見込めず
シノケングループは、「現状のままでの事業運営では、将来に向けた持続的な成長は見込めず、さらなる企業価値向上のためには、当社グループの役職員が一丸となって事業構造の転換を推進していくことが必要と考えております」と課題について記述した。
主力のアパート・マンション販売は、木材などの資材および地価などの高騰により利益率低下を招いており、業績を維持拡大していくためには、さらなる営業体制の強化が必要となる。しかし、コンプライアンス上の懸念も生まれてしまうことなどから、フローだけでなくストック収益の比重を高めるほか、REITの規模拡大や国内外での新たなREIT設立による不動産の販売チャネル多様化を図っていくことが、持続的な事業運営には必要だと同社は捉えているという。中長期の持続的な成長のためには、IoT活用を通じたDX推進や海外事業の拡大、M&Aによる介護事業の拡大が必要だとしている。
これらを実現するためには、積極的なシステム投資や人材確保、機動的な意思決定がより重要になるほか、投資フェーズでは短期的な業績悪化のリスクもあるため、上場を維持したままでは実現困難と判断。今年5月中旬に、今回の取引を検討するに至ったようだ。
【永上 隼人】
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