2024年04月29日( 月 )

急加速する天神ビッグバン&博多コネクティッド(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 2022年の下半期―とくに年末にかけて、福岡市の都心部再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の新たな大規模プロジェクトが次々と発表された。現在、天神および博多という都心部で市主導の2つの再開発プロジェクトが進んでいるが、コロナ禍での一時的な停滞を経て、再び活況を呈し始めている。今回、現在進んでいるプロジェクトの概要を改めて振り返ってみたい。

天神ビッグバン(つづき)

住生福岡ビル・西通りBC

 明治通りの天神西交差点に面した天神2丁目南ブロックでは、住友生命保険相互会社(以下、住友生命)と福岡地所が「(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画」を進めている。

 同プロジェクトは、住友生命福岡ビル(所有:住友生命)と天神西通りビジネスセンター(所有:福岡地所)の2棟を建て替えて一体開発するもの。屈曲した道路の正面にテナントが自由に使えるバルコニーを各フロアに設置。地上広場と2階の大きなテラス、バルコニーと人々の活動の賑わいがビルの表情となり、活気にあふれる街である天神の西の象徴としてふさわしい景観を形成するほか、足元部分には明治通りに沿って帯状に緑を設け、歩行者に潤いを提供する。

 また、市が進める「感染症対応シティ」や環境負荷の低減にも貢献するほか、敷地北西の地上広場にはアートの設置を計画し、「Fukuoka Art Next」の取り組みにも寄与する。

 同プロジェクトの事業主は住友生命と福岡地所の2社で、設計は(株)日建設計と(株)竹中工務店が担当し、施工は竹中工務店となる予定。22年6月には天神BBBの適用を受けており、25年5月の竣工を目指している。

(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画

(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画

敷地面積:約2,820m2
延床面積:約4万2,000m2
規 模 :地上24階・塔屋2階・地下2階建
用 途 :事務所、店舗、駐車場
建物高さ:約113m
竣 工 :2025年5月(予定)

ヒューリック福岡ビル

 明治通りと新天町に挟まれたオフィスビル「ヒューリック福岡ビル」(所有:ヒューリック(株))も、高級ホテルを核とした大型複合商業ビルへと再開発される。

 「(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画」は建物コンセプトを「THE GATE」としており、天神地区への入口にふさわしい新たな賑わい拠点としての「GATE」を形成する。また、ホテル、オフィス、商業の異なる3つの用途の積層を照明計画などで表出させ、街に印象的な景観を創出。外壁パネルには帯状に幾何学的な模様が連なるパターンを設け、陰影により表情を変える新たな街のシンボルを生み出していく。また、低層部および中層部には四季折々に花の咲く植栽を設けることで、まちに潤いを与える計画となっている。

 同ビルの設計および施工は大成建設(株)が担当。21年10月に天神BBBの認定を受けており、24年12月の竣工を予定している。

(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画

(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画

敷地面積:約1,450m2
延床面積:約2万860m2
規 模 :地上19階・塔屋2階・地下3階建
用 途 :ホテル、オフィス、商業等
建物高さ:約92m
竣 工 :2024年12月(予定)

北別館跡地活用事業

 21年7月に福岡地所を代表企業とするグループ(構成企業:九州電力(株)、(株)九電工、前田建設工業(株)、(株)俊設計、(株)旭工務店、(株)サン・ライフ)が優先交渉権者に決定していた「市役所北別館」の跡地活用事業は、22年12月22日に事業計画の変更を発表した。

 新たに発表された計画では、市役所北別館に加えて隣接する大型ビル「メディアモール天神(MMT)」と「第2明星ビル」を加えた3棟を一体再開発するものとなっており、計画変更によって敷地面積および延床面積は変更前の約2.7倍に拡大した。また、敷地の共同化によって駐車場・車両出入口を集約するほか、沿道に面する商業区画が拡大することでより賑わいある歩行者空間を形成し、沿道・地上広場の賑わいを創出していく。

 さらに、地下2階部分で因幡町通り地下通路と接続し、歩行者利便性の向上も図る。事業計画の基本方針は「アフターコロナの働き方に対応する、創造性向上に特化したワークプレイス」としており、天神ビッグバンやグローバル創業・雇用創出特区、感染症対応シティなどの市の重要施策に寄与し、都市機能・国際競争力強化に貢献できるビルを開発していく方針。

 なお、MMTと第2明星ビルの敷地は福岡地所の所有だが、北別館跡地については定期借地権による貸付で、貸付期間終了後には市に返還される。事業期間は60 年間で、土地貸付料は年間2億1,751万円(計画変更前:年間2億140万円)となっている。今後は23年10月頃の着工および26年6月頃の竣工、そして26年8月頃の開業を予定している。

 同ビルの隣接地には、同じ福岡地所の開発による前述の天神ビジネスセンターがある。同ビルの外観イメージにも、天神ビジネスセンターを彷彿とさせる低層部の角地をピクセル状に削る意匠が採用されており、完成の暁には街区内に双子のような2棟のビルが立ち並ぶ光景が見られるだろう。

北別館跡地活用事業

北別館跡地活用事業

敷地面積:4,085.08m2
延床面積:6万3,206m2
規 模 :地上18階・地下2階建
用 途 :オフィス、商業等
建物高さ:88.20m
竣 工 :2026年6月(予定)

(つづく)

【坂田 憲治】

(2)
(4)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事