2024年04月24日( 水 )

急加速する天神ビッグバン&博多コネクティッド(4)

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 2022年の下半期―とくに年末にかけて、福岡市の都心部再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の新たな大規模プロジェクトが次々と発表された。現在、天神および博多という都心部で市主導の2つの再開発プロジェクトが進んでいるが、コロナ禍での一時的な停滞を経て、再び活況を呈し始めている。今回、現在進んでいるプロジェクトの概要を改めて振り返ってみたい。

天神ビッグバン(つづき)

新天町&パルコ

新天町商店街
新天町商店街

    本誌でも過去に何度か取り上げたが、天神ビッグバンのど真ん中にありながらこれまでこれといった動きを見せていなかった新天町商店街やパルコなどが、ついに一体的な再開発に向けて動き出すこととなった──。

パルコ本館
パルコ本館

    新天町商店街商業協同組合および(株)新天町商店街公社、(株)パルコ、西日本鉄道(株)、(株)三井住友銀行の5者は11月30日、福岡市に対して「(仮)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」についての計画概要書を提出し、受理された。今回の計画概要書の提出は、プロジェクト推進にあたっての天神BBBの取得を目指してのもの。プロジェクトの対象エリアは、新天町商店街やパルコ、西鉄福岡駅ビルなどにまたがる約2.2haで、東街区と西街区の2つの街区で構成され、低層部には商店街・商業施設などが入る方針。プロジェクトの開業は2030年度を目指している。

 今回再開発されるのは、パルコ本館・三井住友銀行(1936年竣工[三井住友銀行部分は56年竣工])、パルコ新館(76年竣工[地上部は2014年竣工])、新天町ビル(68年竣工)、西鉄福岡駅ビル(61年竣工)、新天町商店街(54~66年竣工)の5つのビル・商店街。いずれも築46~86年が経過しており、建物の老朽化が進んでいた。そのため前出5者では、将来にわたって安心・安全で賑わいのあるまちづくりを実現していくために「天神二丁目南ブロック駅前東西街区都市計画推進協議会」を設立。耐震性の向上などに向けた再開発への検討を進めてきた。

 発表された将来構想のイメージでは、現状は細分化されている街区の再編を実施。新天町商店街内を南北に通るメルヘン通りを残しつつ、通りの東側を東街区、西側を西街区としてそれぞれ大型複合施設を開発していく。東街区には広場空間を整備するほか、両街区の天神サザン通りに面した地上部にはゆとりある歩行者空間を創出。街の緑化や「Fukuoka Art Next」の推進などにも寄与する、天神の中心地としての立地ポテンシャルを生かした新しい文化・芸術を感じられる複合施設としていく方針となっている。

 なお、天神BBBを受けられるビルの竣工期限は26年12月末までで、本来であれば30年度開業予定の同プロジェクトは竣工期限に間に合わないことになる。だが、市では複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画の期限については個別に判断するとしており、今回は特例的に天神BBBを受けられる公算が高い。

中央郵便局&ショッパーズ

 12月8日、日本郵便(株)とイオン九州(株)は「福岡中央郵便局」と「イオンショッパーズ福岡」の連携を図る段階連鎖建替えプロジェクトの本格的な検討を行うことを発表。また同日、同プロジェクトを推進するにあたっての天神BBBの取得に向け、福岡市に計画概要を提出し、受理された。

 福岡中央郵便局(1982年竣工)およびイオンショッパーズ福岡(71年竣工)は、ともに築40年以上が経過しており、老朽化も進行している。同プロジェクトは、築年数の経過した両建物の建替えにあたって建物の耐震性を向上させるとともに、地区の特性を踏まえた計画とすることで、かつての賑わいある唐津街道(現・昭和通り)に面した歴史性も踏まえた新しい天神北の核として、この地域に勤める人、暮らす人、訪れる人が交流できる拠点をつくるとしている、また併せて、地下ネットワーク上の課題であったバリアフリー動線の確保を、地下街から続く地下通路の整備やエレベーターの設置などで実現するとともに、郵便局通りの快適な歩行者ネットワークの実現などを通じて、天神中心部や須崎公園などの周辺地域、さらにはウォーターフロントにつながる、都心部回遊拠点の形成を目指していく。第一段階として福岡中央郵便局を、第二段階としてイオンショッパーズ福岡を段階連鎖的に建て替えていく方針で、福岡中央郵便局建替え(第一段階)は2030年頃の竣工を目標。続くイオンショッパーズ福岡建替え(第二段階)は30年代中頃の竣工を目標としている。

 なお、前述の新天町やパルコの再開発と同じく、26年12月末までの天神BBBの竣工期限には間に合わないが、複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画のため、こちらも特例的に天神BBBを受けられる可能性がある。

*12 福岡中央郵便局/イオンショッパーズ福岡

天神一丁目15・16番街区

 12月23日には、福岡市が天神ビッグバンを活用した新たなプロジェクト「(仮称)天神一丁目15・16番街区計画」の概要を公表した。

 同プロジェクトは、天神一丁目15・16番街区の地区内有志の地権者で構成される「天神一丁目15・16番街区再開発準備組合」(事業協力者:西鉄、日鉄興和不動産(株))によって提出された、複数街区にまたがる段階的および連鎖的なプロジェクト。同日、計画概要書が市に提出および受理された。

 同街区には、天神の名前の由来となった水鏡天満宮や国の重要文化財である赤煉瓦文化館などの歴史・文化資源のほか、那珂川に面した立地環境など、天神のなかでもほかにはない貴重な資源を有している。また、同街区内で更新時期を迎える建物(築30~70年程度)が多いことや、天神通線が計画されていることなどの背景を踏まえて、これまで地区内有志の地権者によって、歴史・文化資源と水辺の恵まれた環境を最大限に生かした街区を越えたまちづくりの可能性が検討されてきた。

 今回の計画では、福岡城の鬼門にあたる現在地にある水鏡天満宮を、方角を変えずに那珂川の水辺に近づけるほか、赤煉瓦文化館前の県道を天神通線へ付け替えて一体整備することで、那珂川に面した部分に水鏡天満宮や赤煉瓦文化館と一体となった緑・公園を創出。また、その西側部分に建物の高度利用と都市機能の更新や耐震性の向上、感染症対応、環境負荷低減などに資する建物計画を行うほか、低層・地上部には既存の特徴ある連続した店舗空間(横丁)等の継承を行っていく。この段階的・連鎖的な一体整備によって「リバーフロントNEXT」にも貢献する魅力的な空間創出を行うほか、市の進める「感染症対応シティ」「Fukuoka Art Next」などへの寄与や、天神明治通りまちづくり協議会が目指す「アジアで最も創造的なビジネス街」の実現に向けたまちづくりを進めていくとしている。

 今後、22年度中に地区整備計画・市街地再開発事業の素案作成を行ったうえで、市街地再開発事業の事業計画等の検討および事業期間を決定。30年以降の実現を目標としている。前出の2つのプロジェクトと同様に26年12月末までの天神BBBの竣工期限には間に合わないが、こちらも複数街区にまたがる段階的および連鎖的な建替え計画のため、特例措置を受けられる可能性がある。

赤煉瓦文化館/水鏡天満宮

(つづく)

【坂田 憲治】

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