2024年04月26日( 金 )

急がれるクルーズ船客の分散化、観光バス渋滞の解消図る~福岡市

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hakatakou 博多港に寄港したクルーズ船の数は2015年、全国一の259回に上った。この背景には入国手続きの円滑化がさらに進んだことがある。入管法の改正により同年1月から「船舶観光上陸許可」制度が始まった。従来の「寄港地上陸許可」制度よりも船舶の対象が広がり、上陸期間も長くなっている。14年は寄港地上陸許可で博多港を訪れたのは12万人だったが、15年の船舶観光上陸許可で50万人に跳ね上がった。これにともない船客が乗る観光バスによって引き起こされる渋滞が問題になっている。福岡市の観光担当者は「解決策の一つとして、立ち寄り先の分散化を図っている」と話す。

 観光バスの渋滞問題は昨年9月の福岡市議会でも一般質問され、市は臨時駐車場の確保や関係者間の連携などに取り組むと回答した。16年に入り、市は民間業者と共同で観光バスの停車時間をできる限り短くする対策に乗り出している。これはクルーズ船の停泊時間が短いため、大型免税店が入っている商業施設など行き先が極めて限定される傾向にあるためだ。

 福岡市は2月2日、クルーズツアー商談会を開いた。ランドオペレーター14社に対し、クルーズ船客を受け入れ可能な条件を充たした飲食店14店舗、観光・商業施設22施設がプレゼンテーションを行っている。クルーズ産業に携わる事業者を増やすことを目指したイベントだが、もう一つの目的は新規の周遊コースの開拓。定番化したコースにバスが集中している状況を緩和しようと、行き先をさらに分散化させようとしたものだ。

 市の担当者は、「クルーズ船客の消費エリアが広がれば、地域経済の活性化にもつながる。一方で近年は観光客らがスマートフォンの自撮り棒を振り回したり、無許可で写真を撮影するなどのマナーの悪さが目立っている。観光客の満足度を高めるために、マナー啓発にも力を入れたい」と語った。

【平古場 豪】

 

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