2024年05月07日( 火 )

三菱自動車が日産傘下入り 株式34%取得で経営再建を主導

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

mitubisi 日産自動車(株)(以下、日産)は5月12日、三菱自動車工業(株)(以下、三菱)の株式の34%を取得すると発表した。これにより日産は三菱の筆頭株主となり、事実上三菱が日産傘下に入ることになった。三菱による燃費不正問題は11日の同社幹部による記者会見で全車種におよぶことが明らかになっており早急な対応が迫られているが、日産の素早い動きは12日に発表した2015年通期決算の好調さに後押しされたと見られる。

 日産は三菱が2,370億円で実施する第三者割当増資を引き受ける。両社は戦略的アライアンスに関する覚書も締結し、購買、車両プラットフォームの共用、新技術の開発分担、生産拠点の共用、成長市場などで協力することに合意。日産は三菱自に役員を派遣して経営再建を主導し、今後は三菱内に日産色が強まることになる。販売チャンネルの統合、OEMの強化などが進められるはずだ。

 日産のカルロス・ゴーン社長は、「双方にウィンウィンとなるものだ。両社が集中的に協力し、相当規模のシナジー効果を生み出すことで新たな自動車勢力ができ上がることになる」と胸を張る。三菱の益子修会長も「リソースの共有を含む戦略的なパートナーシップの深化が長期的な価値をもたらす」と語った。すでに日産は仏・ルノーと17年にわたるアライアンス関係を結んでいるが、今後はその枠が三菱まで広げられることになる。

 また12日、日産は2015年度通期の連結決算を発表した。純利益は5,238億円で前期比14.5%増。北米や西ヨーロッパ、中国で発売した新型車が好調な売れ行きを示し、為替変動のマイナスと減速する新興市場の影響を打ち消したのが理由としている。

 売上高は7.2%増の12兆1,895億円、営業利益は34.6%増の7,933億円。グローバル販売台数は前期比2.0%増の542万台だった。ゴーン社長は「この好業績は特に北米における継続的な新車攻勢が奏功した」とし、「今年度は、とくに自動運転技術の採用などの継続的な商品改良やルノー・日産アライアンスによるシナジー効果の増大がこれからの発展をけん引することになる」と述べた。

【平古場 豪】

 

関連記事