2024年03月29日( 金 )

99%の主権者が1%の巨大資本に勝つ方法

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、21日に銀座のモンサント日本社付近で行われた集会とデモ行進について紹介し、「1%が支配する社会」「1%の利益だけを追求する政治」を打破する方法について触れた、5月22日付の記事を紹介する。


 風薫るさわやかな季節。5月21日(土)の東京も絶好の行楽日和の好天に恵まれた。家族や子どもと大切な時間をすごす貴重な好機とも言える日和だったが、銀座のモンサント日本社付近で行われた集会とデモ行進には多数の市民が参集した。
 貴重な時間を割いて、このような集まりに足を運び、行動をされた市民の方に心から敬意を表したい。

銀座の水谷橋公園で開かれたデモ前の集会
http://geneticroulette.net/archives/2688
https://www.youtube.com/watch?v=4Yl-M36K0-o

 「反モンサント大行進」の行動を企画された安田美絵さん、内田聖子さん、印鑰智哉さんなどから、冒頭に発言があった。私も5分間の時間をいただき、一言お話をさせていただいた。

 モンサント社は1901年に米国のセントルイスに設立された化学会社である。しかし、その歴史は悪魔の紋章に彩られたものである。PCB、枯葉剤、牛成長ホルモン、そして遺伝子組み換え種子などの生産物は、これまでに多くの健康被害、環境破壊を引き起こしてきた。いまなお、有害危険物質が地中に埋設されたまま、深刻な土壌汚染を引き起こしている箇所が無数に存在すると見られている。ベトナム戦争では400万人の市民や兵士が枯葉剤に被曝し、これまでにも、そしてこれからも、重大な問題を引き起こしてきた。

 いま問題になっているのは遺伝子組み換え食品と毒性の強い除草剤のセット販売である。草木を殺傷してしまう毒性の強い除草剤。これと、この毒への耐性を有する遺伝子を組み替えた穀物種子をセットで販売する。農家の労働負担を軽減するという甘美な触れ込みだが、ここに悪魔の本性が潜んでいる。
 TPPも遺伝子組み換え種子と除草剤のセット販売も、「甘いマスクと悪魔の素顔」というのが実態である。甘い言葉で麻薬注入に誘い込み、依存症に誘導したうえで、カネと健康を奪い尽くす。シャブ中患者を廃人にしてしまう悪魔の手口と共通している。
 モンサント社の恐ろしさは、こうした恐怖の営業活動に対する政治権力の全面的な支援体制を確保している点にある。政治権力と結託し、大地を汚し、農家を苦境に追い込み、消費者の生命と健康を脅かす。三方一両得ならぬ三方百万両損である。

 日本の遺伝子組み換え表示に対する規制は甘い。日本は大豆やトウモロコシ消費量の大半を輸入に依存している。そして、その輸入大豆やトウモロコシの大半が遺伝子組み換えなのである。
 こうした輸入大豆やトウモロコシの大半は家畜飼料に充当されるが、輸入大豆、トウモロコシ、菜種などを原料とする醤油や各種甘味料、植物性油には表示義務がないため、大半が「遺伝子組み換え」原料を用いている。また、これらを原材料として製造される食品にも、これらの原材料については表示義務がないため、消費者は知らぬ間に「遺伝子組み換え」作物を大量に摂取してしまっている。
 そして、遺伝子組み換え食品が人間の健康に与える害悪が、さまざまな研究によって明らかにされている。

 モンサント社はデータのねつ造や隠ぺいを繰り返してきたが、それでも、製品の毒性、有害性は隠しようがなく、時間の経過に連動して重大な問題が明らかになってきた。

 安倍政権はTPPを推進し、遺伝子組み換え食品の輸入、流通に積極的である一方、その表示義務を軽減する方向に行政を運営している。その行為は、モンサント社のような、1%の強欲巨大資本の利益のためには、日本の主権者国民のいのちとくらしは犠牲にしても構わない、という政治スタンスを示している。

 私たちは、この姿勢にNO!を突き付けてゆかねばならない。1%の強欲資本が支配する社会、1%の強欲資本の利益だけを追求する政治がはびこっているが、これを打破する手段はあるのだろうか。

 私たちは過度に悲観的になる必要がない。1%が支配する社会、1%の利益だけを追求する政治を打破する方法。それは、「民主主義の活用」である。「民主主義を活用」すれば、99%の意思を通すことができる。1%の利益を追求する政治をやめさせることができる。私たちはいま、「民主主義の活用」という原点に立ち帰る必要がある。

※続きは5月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1441号「『1%のための政治』打破秘策は『民主主義の活用』」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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