2024年04月29日( 月 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~記録を残す

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 記録というものは目標として捉えて達成するものと、自然の流れの中で日々頑張っているところに達成してしまう記録と二通りの道があるように思う。

 今回のイチロー選手の記録は日々頑張っていたところで生まれてきた記録だと思う。メジャーリーグに挑戦すると決めた時にはこの目標は含まれていなかったと思う。本当に日々の積み重ねの重みを感じると同時に、大切さを教えてくれる記録だと思う。そして記者会見では冷静にこの記録が色々な角度で見られることを十分に自覚した受け答えが印象的だった。普段からよく言う言葉で「自分でコントロールできないことにはこだわらない」この言葉通りの記者との受け答えにイチロー選手のこの記録への関心度が現れていた。ただ周りのチームメンバーに本当に恵まれたということを強調しての受け答えには多くのチームメイトが終生忘れることのない記念になったことだろう。

 周りの騒ぎと違うところに自分の感覚が生まれてくることもあり、それは自分ではどうにも出来ない世界が生まれることもある。今日イチロー選手がメジャーリーグのピート・ローズの安打数4,256本を超える4,257本のヒットを記録したことは周りの多くの人たちにとって色々な意見のあるところの記録となったと思う。

baseball この記録はメジャーリーグの記録として認知されるべきか?日米合算ということでメジャーリーグの記録としてはふさわしくないという意見とが喧々諤々の世界を作ることだろう。日本では当然記録だ!という意見が多くあり、アメリカではそれは違うという意見が多くあることだろう。この意見は今日から長い時間をかけてファンの方々の話題になることだろう。では選手を含むグランドで一緒にやっている人々の中での意見はどうか?絶対数は否定的な意見が多いだろう。

 古くから日本のプロ野球というもののレベルを3Aクラスだという認識の人が多くいるということも影響するのだろう。早くこの認識を改善したいのだが今のところでは難しいと言わざるをえない。

 それにしても凄い数字を残したものである。日本での1,278本のヒット、アメリカでの2,979本のヒット、こんな数字を記録できる選手はもう私たちの世代ではお目にかかることはできないだろう。その選手の1年、1年を見せて貰ったところを考えるこの選手の足跡が見えるのではないだろうか? 特に私にとっては2001年の1本目のヒットを見せて貰ったからなおさら思い入れがあるのかもわからないが、寒いシアトルの球場の放送席から見た4打席目のセンター前のヒットがアメリカでの1本目です。そのイチロー選手が記録した4,257本のヒットはピート・ローズ選手が記録した4,256本時より、42歳ということで3歳若く記録しています。打席数も1万5,890打席で達成したローズ選手に比べて、イチロー選手は1万4,339打席という少ないチャンスで4,257本のヒットを記録しているということも記実したいところです。

 そしてこれから達成に向けて新たな意欲を持っているだろう3,000本のヒットは誰にも文句のつけようがないメジャーリーグで自分の力で記録してきたヒットです。この3,000本のヒットには思い入れが今回と違いあることでしょう。彼が歩いてきたここまでの道だけでも十分にメジャーリーグの野球殿堂に入るに値する活躍を見せてきましたが、ここに3,000本の記録があれば絶対という世界が開かれることでしょう。

 ある日この3,000本という目標が頭に浮かんで追いかけようと決めた日からこの日を一番楽しみにしていたのが当のイチロー選手でしょう。過去に達成した29人の選手たちのほとんどが23歳までにメジャーリーグでデビューしていることを考えると、この3,000本という数字がいかに時間がかかるかということが理解してもらえると思うのですが、イチロー選手がアメリカに来たのが27歳、遅いデビューですが、この遅れをものともしないで30人目に飛び込んだということは、いかにイチロー選手がすばらしいスピードでヒットを重ねてきたかということを証明してくれている。単純に考えて15年目で3,000本ですから、ここでも1年間で200本のヒットを重ねてきたことになります。

 確かにアメリカでは年間162試合という試合数があり、日本よりは随分とヒットを稼ぐには恵まれていますが、それにしても毎年200本を記録することの大変さは到達した本人しかわからない世界があることでしょう。

 今回本当に素晴らしい記録を考える機会をイチロー選手がくれました。これからも多くのことを多くのファンが考える機会を作ってくれることでしょう。野球に興味のある人、ない人、そんなことに関係なく考える機会を作ってくれたイチロー選手に万歳、万歳!!!!!!!!

 

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