• このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年07月06日 14:37

矢部宏治氏の著作で知る戦後日本 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は矢部宏治氏の著作を紹介し「米国に支配される日本」が生まれた経緯や原因に触れ、それを知り払拭することが戦後日本の総決算だと説いた7月5日付の記事を紹介する。

 矢部宏治氏が新著『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』を刊行された。『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社インターナショナル)に続く第2弾である。矢部宏治氏は名著『戦後史の正体』(孫崎亨著、創元社)(プロデュースされた方でもある。

 矢部氏は『戦後史の正体』のなかで同書刊行の問題意識について、次のように述べている。

○人類史上最悪といわれる原発事故が起きた。なのになぜ、それまで「絶対に安全だ」と言い続けてきた責任者たちは誰も責任を問われず、逆に「安全性が確保された」などと言って再稼働を求めているのか。

○公約をかかげて勝利した政権与党の党首(野田首相)が、なぜ公約に完全に反した政策を「命をかけてやりとげる」などと言い続けているのか。

○本来、社会正義の守り手であるべき検察が、なぜ組織ぐるみで証拠を捏造し、有力な首相候補である政治家(小沢一郎氏)に冤罪を着せようとしたのか。検察官の不正はあきらかなのに、なぜ彼らは罰せられないのか。

○右のようなきわめて重大な問題を、なぜ大手メディアは批判せず、むしろ不正に加担しているのか。

 そのうえで、「こうした数々の重大な疑問を解くためには、「戦後日本」が誕生した終戦直後(占領期)まで歴史をさかのぼって考える必要がある」と記述した。

 私も、『日本の独立』(飛鳥新社)、『日本の真実』(飛鳥新社)などに著書において、戦後史の変遷を通じて「この国のかたち」を論じてきた。孫崎氏や矢部氏と問題意識を共有する。

 そして、矢部氏は今回の新著において、戦後の日本を米国(米軍)が支配し続けてきた背景と根拠を、具体的な条約や密約の事実を摘示して、見事に表出された。
 矢部氏は、本書の冒頭において、米国による日本支配のカギを握る「密約」について、先駆的研究をし、重大な業績を残されてきた新原昭治氏、古関彰一氏、春名幹男氏、我部政明氏、ならびにその法的構造の解明に着手した本間浩氏、前泊博盛氏、末浪靖司氏、吉田敏浩氏、明田川融氏、吉岡吉典氏、笹本征男氏の名を列挙して、心からの敬意を表している。
 矢部氏はこうした先駆的業績を確認、検証したうえで、米国による日本支配の構造を鮮やかに描き出し、読者に提供された。

 その意義は極めて大きい。つまり、単なる推論、仮説の提示ではなく、法的効力を有する各種の公文書に記載されている「事実」を踏まえて、戦後日本の対米関係を鮮明に描き出しているのである。そこに描き出された現実は、文字通り、

「米国に支配される日本」

 そのものであり、この「米国に支配される日本」が、誰の手によって生み出されてきたのかを明確に摘示するものである。
 米国側の主導者が明らかにされるが、それと同時に、日本側の主導者、首謀者も明らかにされる。

 その現実は、権力者の立場にいる者が、立憲主義、「法の支配」の大原則を踏みにじり、文字通り暴走するかたちで、日本を米国に売り渡してきた、「売国の作法」を明示するものである。

 矢部氏がプロデュースしている創元社のシリーズの一冊に『検証・法治国家崩壊-砂川事件と日米密約交渉』があるが、文字通り、条約+協定+密約による現実規定には「法治国家崩壊」の現実が見えてくる。

 吉田茂、岸信介、佐藤栄作の3名による「密約」による「日本売り渡し」の「事実」を私たちは確認し、過去にさかのぼってその責任を追及し、事態の是正を図らなければならない。
岸信介氏の孫にあたる安倍晋三氏が、その「売国の作法」を受け継いでいることは言うまでもない。

 「戦後日本の総決算」とは、戦後日本政治における「売国の作法」を明らかにしたうえで、これを払拭することにある。戦後日本を正確に理解するうえで、すべての日本国民が精読しなければならないのが矢部氏の新著である。国民必読の書である。

※続きは7月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1479号「法治国家を崩壊させた吉田茂と岸信介」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年08月15日 09:00

【8/15~31】福岡出身プロゴルファー小田孔明氏が豪雨災害復興チャリティー開催NEW!

 プロゴルファー小田孔明氏らは、令和2年7月豪雨の被災地のファンへの恩返し、復興支援の思いを込めて、チャリティーオークションを本日15日から31日までモバオクで開催す...

2020年08月15日 07:00

コロナ禍で苦境となったカプセルホテル、ナインアワーズが再生へ(後)NEW!

 ナインアワーズが再生を手がけるのは、東京、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏で、かつターミナル駅徒歩数分の立地に限定している...

2020年08月15日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(後)NEW!

 市担当者は「受け皿となる民間事業者はある。ただ、業務量が膨大なため、単独の企業ではなく、複数企業から成るSPC(特別目的会社)を想定している」と話す...

2020年08月15日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(4)NEW!

 神戸市の人口は、20年6月時点で151万人。阪神淡路大震災の影響により151万人から142万人まで減少したが、その後は回復を続け、2011年には154万人に達したも...

2020年08月14日 07:00

コロナ禍で苦境となったカプセルホテル、ナインアワーズが再生へ(前)

 「今年の春、カプセルホテルやビジネスホテル、民泊などの宿泊特化型施設の売上は昨年同月比で10%以下にとどまったところが多かった。ナインアワーズでは、カプセル内UV照...

2020年08月14日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(中)

 この状況を打破すべく、2017年から大阪市水道局は、当初の5年間で耐震性の低い鋳鉄管を集中的に更新した後、次の5年間でペースを倍化し、古いダクタイル鋳鉄管を更新する...

2020年08月14日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(3)

 基本計画のもう1つの目玉が、都市再生事業(雲井通5丁目再開発)として進めるバスターミナルビルの建設だ...

2020年08月13日 07:00

何が変わるのか?大阪市・水道管路更新コンセッション(前)

 大阪市水道局は、配水管の耐震化促進のため、2018年12月に成立した改正水道法に基づく「コンセッション方式(※)」による管路更新(耐震管への取替え)事業を進めている...

2020年08月13日 07:00

「ウォーカブル」なまちづくりで神戸市は復活できるか?(2)

 15年、神戸市はようやく重い腰を上げた。同年、三宮駅周辺地区の再整備基本構想を策定し、18年には構想に基づいて『神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画』をとりまとめ、駅...

2020年08月13日 07:00

オールラウンドなまち福岡・大橋~整備の歴史と今後の開発計画(4)

 今年5月末に「ダイキョーバリュー大橋店」が閉店したほか、6月10日には「ニューヨークストア大橋店」が閉店。エリア内から一気に2店のスーパーが姿を消した。その一方で...

pagetop