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2016年07月13日 13:16

水道インフラの復旧に、熊本市はどう立ち向かったか(前)

熊本市上下水道局

 活火山を有す、"火の国"というイメージもある熊本だが、これまで大規模な地震は少なく、西方沖地震(2005年)を経験した福岡市同様、熊本は地震に対してさほどの警戒心を持っていなかった。そこに青天の霹靂となる直下型の大地震が熊本を襲った。もちろん、地震の影響で熊本市における水道管は破損。各地で水道水の供給に支障が生じた。誰もが早期の復旧を願っていた。だが、16日の本震により前震に耐えていた管路も持ちこたえられず破損が相次ぎ、水道水の供給が停止。都市機能が麻痺状態となった。
 水の確保のために、熊本市上下水道局は不眠不休で復旧に尽力。同局の奮戦を交えながら、今回の地震における水道関連の現状と課題を検証してみる。

水源は100本超える井戸、地下水湧き出る水源都市熊本

健軍水源地5号井<

健軍水源地5号井

 熊本市の水道事業は1924(大正13)年に給水を開始している。今もなお現在の水道水源は天然の地下水である。ここが九州管内でも同じ政令指定都市の福岡市と大きく異なる点である。福岡市の水源は8つのダムや近郊の河川、福岡地区水道企業団からと3つに分類される。年間の総取水量は1億4,662万m3(2009~13年度までの5年間の平均値)。水源としてダムが38%、近郊河川35%、同企業団からの取水27%の比率となっている。
 対して熊本市の総取水量は8,063万m3(09~13年度までの5年間の平均値)である。福岡市の人口は154万3,417人であるのに対し、熊本市は74万648人(ともに16年3月1日現在)。1人当たりの平均年間取水量は福岡市が約95.2万m3、熊本市が約108.9万m3と熊本市がやや多い。

 では、熊本市の管路状況を見てみよう。熊本市上下水道局が管理する水道の管路総延長は約3,366km。水源地は52カ所(取水井戸113本)、送水施設は19カ所、配水施設67カ所を有する。内訳は、取水井戸から浄水処理前の原水を調整池・集水槽に送る導水管が約45km。その調整池・集水槽から飲用可能な状態に処理された水を配水池に送る送水管が約57km、そして配水地以降の水を供給する配水管が約3,264kmとなっている。
 これに対して福岡市は管路総延長約4,131kmで、配水管は約3,972km。従って導水管・送水管の合計は約159kmとなる(13年度末現在)。これから見ると熊本市は地下水の取水主体なので、導水管・送水管の合計は約約102kmと短く、福岡市の方が県内のダムからや筑後大関などからの取水で長い管路を有していることがわかる。また、熊本市は福岡市に比べて人口は約半分となるものの、管路総延長は福岡市の約4,131km対して約3,366kmと人口如何に関わらず都市にはこれだけの水道管施設が必要かわかる。

 今もなお火山活動している阿蘇中岳を有し"火の国"としての顔を持つ熊本。そのほかで良質な地下水源持つなどが豊富な資源の一面を持っていることは有名。「熊本では、ミネラルウォーターが売れない。それは、地下水が豊富にあるから」と耳にしたことがある。それほど豊かな水資源を持つ地域である。広大な土地もあることから大量の水を使う大手工場が進出しているのも納得である。

耐震化は全体の22%止まり、急がれていた整備事業

simin 地震とは無縁と思われた熊本でも、管の耐震化は進められてきた。14年度末における熊本市内の耐震適合性がある管(いわゆる耐震管以外でも管路が布設され、耐震性があると評価できる管)と耐震管は配水の基幹となる導水管・送水管、直径350mmに限ると耐震化は74%に達していた様子で、配水の基幹となる管などは耐震化がなされた。だが、すべての管路の耐震化が進んでいたということはなく、14年度末においても、耐震化はまだ22%にして進んでいなかったのだ。
 同局が掲げる「新水道ビジョン」に基づき老朽化した水道施設の機能強化を図り、耐震化、水運用の強化などのバックアップ体制の構築を行う計画があった。また、中長期的視点で2053年までを対象としたアセットマネジメント手法を活用し、将来的な財政収支を検討しつつ、配水管の更新を実施することになっていた。
 その背景には法定耐用年数の1.5倍を超過した管路や、鋳鉄管や硬化ビニル管など耐震性が低く、継手からの漏水、破損事故の発生頻度が高いとされる管などが多く存在していたことも事実である。そこで、09~21年まで約326億円の予算をかけて約212kmを整備する水道施設整備事業の計画と、10年から28年にかけて第6次拡張事業によって耐震化を図るとしていたのだ。
 豊富な水資源を持つことで渇水と縁がないイメージがある熊本市。福岡市のように海水を淡水化することもなく、近隣都市部から送水して水源の確保に力を注ぐこともないので、自前の水源で水を確保できる。近年、大地震の経験もない。だが、その安心感が耐震化の遅れを招いていたこともあったかもしれない。まさか、直下型の地震が熊本で起こるなどと誰が予想しただろう。いずれにせよ、未曽有の災害が熊本を襲ったのである。

(つづく)
【道山 憲一】

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