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2016年07月14日 07:03

水道インフラの復旧に、熊本市はどう立ち向かったか(中)

熊本市上下水道局

2度にわたる地震で管路は寸断、不眠不休の職員の奮闘

熊本市内の配水系統図。このような図面をもとに復旧がなされた 熊本市内の配水系統図。
このような図面をもとに復旧がなされた

<4月14日の状況>
 2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方で震度7を観測する強い地震を観測した。地震に馴染みのない熊本からすれば"青天の霹靂"である。
 14日の地震発生後、通常運用している96本の井戸のうち、69本で濁度が上昇して自動停止。このため、供給される水量は著しく低下した。14日の地震直後の状況を聞くと日付が変わった午前0時30分頃には市内各所に断水が発生していることが明らかになってきた。熊本上下水道局ではホームページによる広報を開始。深夜だが状況の把握に動いた。午前4時30頃「濁水は飲料不可」との呼びかけを開始(その間でも職員による手作業による地道な排水作業が行われていた)。だが、井戸の本数の多さや地震直後の混乱などもあり、作業は難航していた。職員の使命は早急に復旧を行い、水源を確保することだった。
 15日の10時頃には市内各所で濁水および断水の状況を確認。この時点で約5万7,000世帯に断水の影響がおよんでおり、早急な対策を打ち出し応急給水ポイントを市内11カ所に設置し、職員による応急給水活動が開始された。また、懸念されていた配水管の漏水のほか、沼山津、健軍に布設されていた直径800mmの送水管にも漏水が発見された。配水管にも影響が出てきたのだ。地震の被害が明らかになるにつれて、生活インフラの要である水の供給が困難になりつつあった。
 11時30分には中心市街地に緊急節水警報を発令。併せて市民に節水の呼びかけが行われた。4月30日の気象庁発表によると4月14日21時26分から本震となる16日1時25分寸前までに発生した震度6弱以上の地震は3回。最大震度は6弱~7、マグニチュードは5.8~6.4を観測したのだ。とくに震源地とされる益城町に近い市内北部では、かなりの被害とその影響が明らかとなった。

 交通関係では「JR九州は、九州新幹線の博多~鹿児島中央間、鹿児島本線の荒尾~八代間、豊肥本線の熊本~宮地間、肥薩線の八代~吉松間、三角線の宇土~三角間で運転見合わせ。新幹線は、脱線事故の影響で運転再開の見込みが立っていない。一方、高速道路では、九州道で南関IC~えびのIC間、益城料金所~嘉島JCT間、南九州道で八代JCT~日奈久IC間において通行止めとなっている。また、熊本空港では、午前中の4便が欠航、2便に遅れが出る予定」と一報が入っていた。ただ市内を走る路面電車はダイヤが乱れていたものの始発から運行を開始していた。建物の倒壊も激しく、熊本市のシンボルである熊本城も石垣が崩れ、天守閣の瓦もいくつか落ちるなどの被害を受けるなど、混乱は続いていた。

 市民はスーパーや小売店、コンビニに駆けこんだ。店舗では水、お米、カップラーメン、水以外の飲料水、カセットコンロおよびカセットボンベ、トイレットペーパーなどを販売している。復旧作業も商品の調達見込みが立たない状況のなか、販売していたが「とくに水を求められるお客が増えている」といった販売先のコメントが寄せられていた。県内の一部地域では断水となっている影響で、水はすぐに品薄状態になった様子が見られた。
 しかし、この時点では大きな地震は過ぎ去り、峠は越えた雰囲気が漂っていたのはたしか。政府も15日に「全避難者の屋内避難」の方針を打ち出し、熊本県の蒲島郁夫知事が「現場の気持ちがわかっていない」と反発する一幕もあった。それでも余震は続き、倒壊する可能性もあったが怖くて部屋の中にいられない状況が続いた。そして、本震となる16日の午前1時25分に向かって時計の針は確実に進んでいた。

<まさかの本震となった4月16日>
 4月16日午前1時25分。本震となる震度7、マグニチュード7.3の大地震が発生したのだ。
 この本震は昼夜問わず復旧に当たっていた職員らにさらに追い打ちをかける事態となったのだ。熊本市上下水道局の担当職員は「通常運用している96本のうち69本の井戸の濁度が上昇し自動停止してしまいました。せっかく14日の大地震の後、手作業で約1日半かけて排水作業を行い、ようやく復旧のメドが立ったのに...」と当時の状況を語る。マンパワーを駆使し、ようやく供給できる状況にあったにも関わらずに、再度、いやそれ以上に深刻な状況に陥ったのだ。
 緊急遮断弁が作動したことで災害対策用貯水施設22カ所に6万50m3の水は確保された。しかし、基幹管路となる沼山津の導水管をはじめ、送水管、配水管すべての管の漏水が発生。すでに手が付けられない状況になっていた。「とくに、1回目の地震で耐えていた接合部分が、今度は耐えきれず破損していたものが多くありました。基幹となる管を先に掘り起こして取替作業を行い、順次供給する以外になく余震に耐えながら作業を行う姿が目に浮かぶ。

 この本震の影響で熊本市給水戸数の23万戸が断水。しかも配水支管、給水管をはじめ多くの管路で漏水が発生した様子が見られたが、当時の状況下では総数は把握できずにいた。

昼夜問わず官民一体となった復旧作業<

昼夜問わず官民一体となった復旧作業

(つづく)
【道山 憲一】

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