2024年05月03日( 金 )

恩返ししながら、お客さまと共に成長していく

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プレナム機工(有)

 プレナム機工(有)は、空調冷凍資材を扱う専門商社。1989年に鹿児島で創業し、2012年に福岡営業所を開設。福岡の売上はわずか4年で本社に並んだ。現代表の福吉浩樹氏は、98年に大学卒業と共に同社に入社。当時窮地に陥った事業を立て直し、10年に社長に就任。当時を振り返りながら、経営に対する思いを聞いた。

どん底からのスタート

 創業者である父親が倒れたのは、大学4年生のときだった。すでに決まっていた内定先を辞退し、卒業と共に鹿児島に戻ることになった。プレナム機工(有)に入社した当初の状況は最悪だった、と福吉浩樹社長は語る。

office16min 1989年に創業した同社は、それまで順調に業績を伸ばしていたが、父親が体調を崩したこともあり、業績は悪化。売上はピーク時の半分ほどになっていた。従業員は辞めていき、父親の右腕的存在だった社員すらも引き抜かれていった。福吉社長が入社したときに会社に残っていたのは、わずか2名だった。創業当時から勤めていた事務員の女性と、入ったばかりの男性社員、そして大学を卒業したばかりの自分。状況は絶望的に思えた。

 父親の体調が安定するまでは、自分が会社を引っ張っていかなければならない。とにかく売上を出さなければと、以前取引をしていた顧客名簿を一から回ったが、まったく相手にされず、そうしている間に既存の顧客も他へ移っていく。自分で新規の客を開拓していくしか、道はなかった。

 「当時は借金もあったし、何より社員に給料を払わなければならないという気持ちが強かった。ただひたすら地道にやっていく他なかった。今思えば、事業がうまく行っていなかったウチと、喜んで取引をしたい会社なんていなかったはずだ。それでも支え続けてくれたお得意さまや仕入先には、本当に感謝しています」。

 現在、取引している顧客のほとんどが、当時知り合ったお客さまだ。それから徐々に事業が軌道に乗り出し、入社して13年目の2010年に代表取締役に就任。苦しかった当時を一緒に乗り切った社員は、今もなお会社を支えてくれている。

信頼を得るために、事細かな気遣いとサービス

 12年に、福岡営業所を開設。そのきっかけとなったのは、顧客の存在だった。取引先のメーカーから、福岡への出店要請が来たのである。
 「従業員には普段から、お客さまや仕入先との信頼関係を築くよう言ってあります。信頼を得ていないと、いざというときに声を掛けてもらえない。会社の規模で態度を変えるような社員はウチにはいません。1つひとつのご縁を大切にし、そこからまた縁が広がっていくような付き合い方をするように指導しています」。

 差別化が図れない商品を取り扱っているからこそ、求められるのは他にはないサービスだ。同社では、商品1個からでも注文を受け付け配達まで行う。同業他社が休みである土曜日も営業を行い、たとえ受付時間が過ぎていても、社内にいる間は電話をすべて取るように心がけている。すぐに対応することが、信頼関係を築くにあたって一番大切なことだと福吉社長は語る。仕入先も同じで、当然、常に快く取引していただけるよう気を配る必要がある。お客さまと仕入先は同等の存在だという意識を、常に持つように従業員に伝えている。

 「創業時、父は43歳だった。もうすぐ自分がその年齢に追い付く。若い頃は何かと父親と比べられることが多く、父親を越えたいという思いでがむしゃらにやってきたが、そろそろ会社の今後を考えていかなければならない」。

 今、一番したいことは、お世話になった方々への恩返しだと言う。幸い、会社を維持できている。当時を振り返ると本当に辛かった。それでもここまでやってこられたのは社員、仕入先、そしてお客さまのおかげだ。とくに、お客さまと共に成長しながら大きくなってきたという気持ちが強い。

 「まだまだ我が社は発展途中。これからもお客さまと共に成長し、出会えた縁を大切にしていきたい」。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:福吉 浩樹
所在地:鹿児島市東開町8-2
福岡営業所:福岡市東区松島1-44-17
設 立:1992年11月
資本金:300万円
URL:https://purenamu.jp/

 

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