2024年04月19日( 金 )

マンション販売、駐車場事業が牽引するも、その他の事業が不振(前)

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トラストホールディングス(株)

 マンション販売代理からマンションデベロッパーへ転身するケースは多い。しかし、用地取得後からマンション建設の着工までの間、土地の有効活用の一環として駐車場事業を開始しマンション開発を凌ぐ売上となっているケースはそれほど見られないだろう。
 トラストホールディングス(株)は、「不動産」を軸足にこれまで事業の多角化を推進。飲食店事業から水素水、駐車場小口化、RV車販売、温浴施設運営、警備、広告事業など多くの事業を手がけてきた。多角化戦略を進めるなか、水素水を販売するウォーター事業で不適切会計処理問題が発覚。企業統治に関する課題が露呈した。

不動産を軸に多角化戦略進める

 トラストホールディングス(株)の創業者であり現会長の渡邉靖司氏が、1993年5月にマンション販売代理をメインとする(株)東洋マネージメントサービスを設立。マンション用地の仕入れに際して発生する空き地の活用方法として駐車場事業を行うため、同年8月に(有)ピー・エム・トラスト(現・トラストパーク(株))を設立し福岡市内で駐車場経営を開始した。

 いまだに主力事業として業績を牽引する駐車場事業は、直営店方式、加盟店方式、管理受託方式で運営される。直営店方式は、駐車場用地を一括して借り上げ、同社グループが駐車場設備機器等を設置し管理運営を行う。加盟店方式は、加盟店契約を締結した駐車場オーナーに対しコンサルティングを行う。管理受託方式は、管理委託契約を締結した駐車場オーナーより管理運営業務の一部を代行する。駐車場事業を中心に、附帯するマンション開発事業、飲食事業など多角化戦略を進め、95年7月には株式会社へ組織を変更。2003年12月に現商号であるトラストパーク(株)に変更した。06年12月に福岡証券取引所Q-BOARDへの株式上場を果たした。09年6月期には44億6,561万円の売上高を計上していた。

 しかし10年2月、トラストパークの子会社であるピー・エム・トラストは、主にトラストパークが運営する駐車場内にて「いなほ焼き」事業を主とした飲食事業を行っていたが、業績不振により飲食事業から撤退。10年6月期は、経常利益1億5,806万円を計上したものの、低採算店舗5カ所の閉鎖および店舗設備の減損損失3,400万円を計上した結果、6,484万円の特別損失を計上。当期純利益は6,000万円に留まり、ピー・エム・トラストは特別清算することとなった。

不動産投資に注目集まるなか、証券化事業に着手

 12年9月、東京証券取引所マザーズに上場。13年7月にはトラストホールディングス(株)を設立し、持株会社制へ移行した。現在のグループ構成企業は、駐車場事業のトラストパークおよび(株)グランシップ、駐車場証券化事業のトラストアセットパートナーズ(株)、マンション販売事業のトラスト不動産開発(株)、ウォーター事業のトラストネットワーク(株)、温浴事業の(株)和楽、RV事業の(株)RVトラスト、広告事業のトラストビジョン(株)、警備事業のトラストパトロール(株)、メディカルサービス事業のトラストメディカルサポート(株)。さらに、バックオフィス業務を手がける(株)ジーエートラスト、各種研究開発を手がけるトラストバイオ(株)、住宅設備機器販売のトラストホームエナジー(株)など多くのグループ会社で構成される。駐車場証券化事業は、福岡県で第1号となった不動産特定共同事業法商品の取り扱いを開始。
 これは、不動産特定共同事業法に基づく駐車場共同所有システムを活用した任意組合を組成。組合の形態は不動産特定共同事業法に基づく任意組合契約で理事長(トラストパーク)を立てて、組合は土地購入に出資を募るというもの。登記上の所有者は便宜上トラストパークのままだが、所有権は任意組合が持つ。メンテナンス、コンサルなどはトラストパークが請け負う。

20170213_014

(つづく)

【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:渡邉 靖司
代表取締役社長:喜久田 匡宏
所在地:福岡市博多区博多駅南5-15-18
設 立:2013年7月
資本金:4億2,299万円
売上高:(16/6連結)140億2,895万円
TEL:092-437-8944
URL:http://trust-hd.co.jp/

 
(中)

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