2024年04月20日( 土 )

政府がビッグデータ売買に指針を作成

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 内閣府の外局にあたる個人情報保護委員会が、ビッグデータ()の取り扱いに関する指針を発表した。5月30日に全面施行される改正情報保護法で、氏名や電話番号、住所などの個人情報を十分に加工すれば、本人の同意がなくてもデータを売買できることになる。

 データの売買にあたっては、氏名や連絡先(住所や電話番号、メールアドレスなど)、カード番号などの特定個人を識別できる情報、自動車の走行データ、クレジットカードの購買情報、交通系ICカードの乗降履歴などは詳細がわからないように削除したり、加工するなどの措置を行わなければならない。
 指針の水準に達しない加工方法でデータを転売した企業が見つかった場合、保護委は企業名を公表したうえで指導、再発防止策を提出させる。

 今回の指針により、企業は自社で集めたビッグデータを加工したうえで他社に売買したり、データベース化して有料で公開したりできるようになるなど、事業に活用しやすくなる。
例えば、自動車の走行データの自動運転技術開発への提供、クレジットカードの購買情報やレジのPOSデータを分析して詳細な市場調査を行い、新たな商品の開発につなげるといったことが考えられている。

 これまで、個人情報の取り扱いはプライバシーの問題と混同されがちで、「どこまでが保護されるべき個人情報か」が曖昧なところがあった。明確な基準を示したことで、消費者の不安を和らげ、企業のビッグデータ活用を促進する狙いがあると思われる。

 すでに海外では同様の加工指針が作成されており、ビッグデータの売買が進んでいる。国内でのデータの売買が活発化すれば、市場調査や商品開発に結び付くだけでなく、ビッグデータを効果的に分析する人工知能(AI)の活用や技術革新も進むことになるだろう。

【犬童 範亮】

※ビッグデータ
さまざまな製品やサービスがインターネットでつながるようになったことで、人々の行動や機械の稼働状況などを、すべてデータ化することが可能になった。そうして日々収集・蓄積された膨大なデータの集まりのこと。

 

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