2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

いつまで続くか「一風堂」株価高値圏(前)

 博多ラーメン店「一風堂」を展開する(株)力の源ホールディングス(HD)の株価は激しく乱高下した。3月21日、東証マザーズに新規上場。初日は値がつかず、翌日に公開価格600円の3.7倍に当たる2,230円で初値をつけた。24日には3,655円と公開価格の6.1倍に急騰。その後、株価は下がり続け4月13日には1,858円に下落。初値を割り込み、高値から半減だ。現在、株価は持ち直し、5月31日の終値は2,140円。公開価格の3.6倍だ。実力以上に評価されている。高値圏はいつまで続くか?

海外出店で収益好転

 朝日新聞(5月13日付朝刊)は、「決算から」の囲み記事で、こう報じた。

〈博多ラーメンの「一風堂」が欧州で「ベジタブルラーメン」に力を入れている。ロンドンやパリの店舗で、ベジタリアン向けの野菜スープ商品がヒットしている。
 運営する力の源(もと)ホールディングス(福岡市)は、3月に東証マザーズに上場。海外での出店を加速させている。米国や中国などライセンス契約を含め65店舗(前年比10店舗増を展開。ロンドンとパリには2店舗ずつあり、野菜スープにキノコや大根の具をのせたラーメンが好評という。〉

 この記事は、力の源HDの上場意図を端的に示している。

 力の源HDの上場後の初決算である2017年3月期の連結決算は、海外事業が貢献した。売上高は前期比7.5%増の224億円、営業利益は21.2%増の6.0億円、純利益は2.2倍の2.7億円と増収増益だった。
国内店舗は、既存店売上が前期比3.2%減と伸び悩んだため、売上高は前期比1.8%減の146億円、セグメント利益(営業利益)は9.6%減の10億円と減収減益。一方、海外店舗は、売上高は同12%増の48億円、セグメント利益は前期の1億円の赤字から1.4億円の黒字に転換した。海外の出店増でまとめて食材を調達できコストを削減した。

 18年3月期の海外店舗の売上高は前年比27%増の61億円を計画。2025年に国内300店、海外300店舗の数値目標を掲げる。

欧州に日本の食文化を広める先兵

 なぜ、海外店舗に力を入れるのか。欧州に日本の食文化を広める先兵の役を担っているからだ。株式上場した最大の目的は、ラーメン文化の欧州への海外展開にある。

 同社の3位の大株主は海外需要開拓支援機構。発行済み株式の11.8%を保有する。支援機構は通称クールジャパン機構。13年11月に海外進出を目指す企業を資金面から支援するために設立された政府系ファンドである。14年12月、「一風堂」を展開する力の源HDに対し、欧州や豪州での海外展開のために7億円の出資と13億円の融資枠を設定した。

 力の源HDは新規上場に伴って80万株を新規発行、4.8億円を調達した。調達資金はパリやロンドンの出店費用に充てる。クールジャパン機構は、上場に伴い、保有株を売却して投資金を回収する。株式上場は、政府系ファンドの出口戦略と、日本の食文化の欧州展開を狙ったものだ。冒頭に上げた朝日新聞の囲み記事は、日本の食文化の欧州進出として読むことができる。まずは順調なスタートを切ったといえる。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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