2024年04月17日( 水 )

ユニー・ファミリーマートは、オウンゴール型M&Aだった!(前)

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 オウンゴールとは、サッカーで誤って味方のゴールにボールを入れることをいう。相手方の得点となる。自殺点と呼ばれた。安倍晋三首相は、森友学園、加計学園の強烈なオウンゴール2発を叩き込み、自民党は東京都議選で歴史的大敗を帰した。自分で得点を入れたと錯覚した小池百合子・東京都知事は、「排除」発言というオウンゴールを蹴り込み、立ち上げたばかりの希望の党は失速した。M&A(合併・買収)では、オウンゴールは珍しくない。ユニー・ファミリーマートホールデイングスは、オウンゴール型M&Aだった。

合併の立役者、上田準二社長の突然の辞任

 2016年9月1日、持ち株会社、ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)(以下・ユニー・ファミマと略)が誕生した。コンビニエンスストアの(株)ファミリーマート(以下・ファミマと略)が、ユニーグループホールデイングス(株)(以下・ユニーGHDと略)を吸収合併する形で統合した。

 ユニーGHDは傘下に総合スーパー(GMS)のユニー(株)とコンビニの(株)サークルK・サンクスを持つ。ファミマがサークルK・サンクスを吸収合併することで、コンビニの店舗数は、首位の(株)セブン-イレブンジャパンに並び、2位の(株)ローソンに大差をつける。万年3位に甘んじていたファミマの起死回生の得点と評された。

 だが、雲行きが怪しくなる。ユニー・ファミマの上田準二社長が17年3月1日付けで、突然辞任し、取締役相談役になり、5月の株主総会で取締役も退いた。

 上田氏はファミマとユニーGHDとの合併の立役者である。上田社長は合併の目的達成のめどが立ったとし、「昨年12月に70歳を迎え、第一線から退くことにした」と説明した。それを額面通りに受け取る向きは皆無だ。

 統合会社が発足した16年9月に退任していたら、花道引退として称讃されていただろう。突然の辞任に、さまざまな憶測を招くことになる。

 やがて、その真相が明らかになる。ファミマによるユニーGHDの合併は、オウンゴールだったということだ。親会社の伊藤忠商事(株)から、その責任を問われて、上田氏は引責辞任に追い込まれたのである。

ユニー店舗のドンキ化計画

 2017年8月24日、ユニー・ファミマは総合ディスカウントストアの(株)ドンキホーテホールディングス(HD)(以下・ドンキと略す)と資本・業務提携で合意した。ユニー・ファミマが、100%子会社でGMSを運営するユニーの株式の40%を11月にドンキに譲渡する。また、店舗運営などでも協業する。

 ユニーは、東海地域を中心に首都圏や近畿に総合スーパーのアピタ、ピアゴを200店運営。2022年度末までに、全体の半分に当たる100店舗のドンキ化を進める。看板はドンキとユニーの両方を掲げ、スーパーの要素も残すが、ドンキの店づくりにして、ドンキが得意とする若者や共働き世帯の取り込みをめざす、としている。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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