2024年05月03日( 金 )

韓国人として改めて感じた、最近の日本~制度の壁とスピード感(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 障壁はこれだけではない。マンションを借りる時も壁にぶつかった。会社が設立できたので、法人名義でマンションを借りることにした。法人がすべての責任を取るので、法人だけが審査の対象になるだろうと思っていたら、大きな誤算であった。法人だけでなく、そこに住む個人まで厳しく審査をするのだ。大手会社の場合は話が別であろうが、中小企業になったら、ビザの審査にも時間がかかり、その間は住宅も借りられない。

 日本は高齢化社会になりつつあり、このような規制をなくして、外国人をどんどん入れない限り、国の活力は段々失われてしまうのではなかろうか。それに、今はなくなっているところもあるが、「礼金」という制度がまだ存在しているのも理解しがたい。数多くの書類や制度を扱うことで安心を得る仕組みかも知れないが、変化が激しいこのような時代に日本の国際競争力はますます落ちていくのではないかと心配になってくる。

 日本の皆さんは慣れているので、それほど不便を感じないかもしれない。しかし、久しぶりに日本に来て感じたのは、日本はスピードが遅く、無駄が多いことだ。香港、シンガポールのようにならなくても、アジア一の先進国の日本は今後制度改善でスピードを上げる必要があると思う。

 一つ良くなった事例としては、入国する際には入国カードを記入して提出するが、出国する時には、以前は出国カードというのがあったが、最近なくなっている。なぜ今まではそのようなものが必要であったのか、疑問に思う。このように考えてみれば、前からあったからといって、存在理由も深く考えずにやっていることがたくさんある。そのようなことを改善していくことが国の発展に繋がるだろう。

 最後にもう一つ、家財道具を買う時に、経験したことをご紹介しよう。日本でも成功した家具会社で、ここではN社としておこう。ベッド、テーブル、いす、布団など生活に必要なものを購入することになった。ショッピングカート4つ分くらいを購入した。一つ一つを入力し、計算し終わったら、その商品は店員が元の位置に戻し、発送は別の商品を送ってくれるのだという。それなら、最初から商品の代わりに、紙切れみたいなものを用意すればよかったのに、あれだけ苦労してカートを引いていたのが悔しくなった。それから、店員もまたそれを元の場所に戻すことはさぞ大変だろう。それからその中から返品でも発生しようものなら、またその手続きが煩雑で、時間がかかる。韓国では商品を返品すると、処理に1分もかからないのに、日本は対照的であった。

 もちろん、日本がすべてこのようになっていると言う意味ではない。しかし、最近の日本は韓国に比べるとスピードが遅く、手間がかかる。それにも関わらず、日本がこれほど発展しているのは国民全員が真面目で、勤勉だからであろう。韓国ではスピードは速いが、その代わりに対応が粗くなるケースもあるので、単純比較はできない。しかし、日本の制度や風習を見直し、もっとスピード感が出ることを願ってやまない。

(了)

 
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