波乱模様の経済界(6)~住宅リフォーム業界 異業種大手がリフォーム会社をM&A(前)
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2017年4月1日、「長期優良住宅化リフォーム減税」が創設された。耐久性向上リフォームを行って既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、減税を行う。住宅リフォーム業界には追い風となった。ビジネスチャンスを逃すな、とばかりに異業種からの参入が相次いだ。住宅リフォーム業界はこれまた乱戦模様だ。
ニトリは中古住宅リフォームのカチタスを傘下に組み入れる
家具最大手ニトリホールディングス(HD)は17年4月28日、中古住宅リフォーム・販売会社のカチタス(群馬県桐生市)の一部株式を、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズから譲り受けると発表した。株式の取得価格は223億円で、持株比率は34.0%。ニトリHDはカチタスを持分法適用会社に組み入れた。
カチタスは17年12月12日、東証一部に上場した。初値は1,665円で、公開価格1,640円を1.5%上回った。その後、値を上げ、18年1月25日に3,275円の上場来の高値をつけた。公開価格のほぼ2倍に上昇した。
カチタスは空き家を中心に古い戸建住宅を買い取り、リフォームして再び販売する。価格は新築の半額程度、月々のローン支払額はアパートの家賃と同等か、それ以下に設定。人口5万~30万以下の地方都市を中心に展開。これまで累計4万件以上の再生・販売してきた実績をもつ。カチタスの18年3月期の売上高は679億円、純利益は44億円の見込み。
ニトリHDは年4,400戸超の中古住宅を販売するカチタスの販路を生かし、家具の拡販強化につなげる。ニトリHDの白井俊之社長は、カチタスの上場会見で、「リフォーム事業で倍々の成長ができるようにしたい」と語る。カチタスは家具なしで住宅を販売していたが、今後は住宅とニトリの家具をセットで提供するといった提携にも意欲を示した。ニトリは住宅のリフォーム事業にやる気満々だ。
ヤマダは独立系リフォーム会社のナカヤマを買収
家電量販店最大手のヤマダ電機は17年11月8日、住宅リフォーム会社のナカヤマ(埼玉県上尾市)を完全子会社化すると発表した。買収額は非公表。さらに住設機器のアサヒ衛陶との提携も同日発表した。2017年3月期は1,300億円だった住設事業部の売上げを、18年3月期は1,800億円程度まで引き上げる。
ヤマダ電機の発表文によると、ナカヤマは日本全国に直営店を100カ所、物流拠点を5カ所、国内工場1カ所、海外工場1カ所を展開。住宅メーカー系を除く、「独立系のリフォーム業界では全国トップを走る」という。狙いは、ヤマダ電機の住設子会社であるハウステックとナカヤマが開発するオリジナル商品の販売強化だ。
ヤマダは、リフォームを重点事業と考えている。しかし、3期連続で減収だったことから、リフォーム営業・商材の見直しを迫られていた。業界紙「リフォーム産業新聞」(18年1月2日号)は、ヤマダ電機によるナカヤマ買収がリフォーム業界にもたらした衝撃を報じた。
〈ヤマダ電機のリフォーム事業規模は2015年度320億円、ナカヤマは2016年度で242億円あり、グループで600億円程度になるとみられる。
(中略)ヤマダ電機のリフォーム拡大戦略の「一丁目一番地」は、新業態「家電住まいる館YAMADA」だ。昨年9月8日、茨城県ひたちなか市にオープンした約1500坪のフロアは、従来の家電量販店とは大きく様相が異なる。家電も売っているが、異様なのは、ソファやベッドなの家具・インテリアと食器などの生活用品を売っているコーナーが併設されている点だ。また、住宅設備などが展示され、ここでリフォームの相談に対応する。さらにヤマダグループのヤマダ・ウッドハウスやエスバイエルが新築相談。さらに、不動産売買・賃貸・保険の相談窓口を備えた店もある。〉(つづく)
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