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2018年04月04日 10:11

野党必見!佐川宣寿の「刑事訴追のおそれ」攻略法(後)

 青沼隆郎の法律講座 第1回

 前回に引き続き、実は違法行為であった佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問について、「刑事訴追のおそれがある」との証言拒絶を打ち破る方法を教える。


(事例2)
小川「証人のいう刑事訴追とは具体的にどんな犯罪ですか。罪名で答えてください」

佐川「虚偽公文書作成罪です」


 虚偽公文書作成罪は作成権限のある者が、虚偽内容の公文書を作成することである。本件の決済文書は作成名義人が複数の合同文書であり、決済には署名(記名)捺印者全員の合意が必要。

 同罪が成立するには、ほかの決済者の印影を盗用させた(公文書偽造罪)ものではないことが前提となる。なお、改ざんの実行者が、職務命令を受けて改ざんを行っていれば、犯罪回避の可能性がないため不可罰とされる。

 何も情報が明らかにされていない状況で、軽々に虚偽公文書作成罪という事自体が失当である。


 小川「本件決済文書の作成名義人は単独ですか複数ですか」

 佐川「複数です」

 小川「そうであれば、同罪が成立する前提としてほかの決済権者の決済印は真正に押印されてなければなりません。そういう意味で尋ねますが、ほかの決済印は真正ですか」

 佐川「それは証言できません」

 小川「これはあなたの犯罪事実に関する質問ではありませんから、証言拒否はできません。保佐人に確認してください」


 証人が証言拒絶できるのは、回答が「罪となるべき事実」の自白となる質問に対してだけである。他人の如何なる行為も自己の犯罪行為とはならず、拒否できない。重要なことは、拒否権の行使で、有罪の推定が同時に禁止されることである。拒否することで「犯罪を行ったから拒否するのであろう」という有罪の推定が禁止される。実は佐川は、自らこの自己負罪拒否特権の放棄をした。これも野党議員がまったく見逃した重大な失策である。


 小川「あなたは財務大臣が改ざんに関与した事実は一切ないと証言されましたね」

 佐川「はい」

 小川「これは自らが犯罪実行者か目撃者でなければ証言できないものですが、断定された根拠はどちらですか」

 佐川「証言を拒否します」

 小川「あなたには刑事訴追をうけるおそれのある質問には証言拒否の権利がありますが前述の財務大臣が改ざん犯罪にいかなる関与もなかった、と証言することは、犯罪実行者にしかできない証言をしたもので、自らその自己負罪拒否特権を放棄したものではありませんか。自己都合で権利を行使したり行使しなかったり自由自在の権利ではありません。保佐人に確認して返事をしてください」

 小川「いったん、自己負罪特権を放棄すれば以後、その権利は行使できません。それを踏まえて今までの証言について確定的証言をしてください」


 これで、佐川が財務大臣に関する断定証言をすべて撤回しなければ自己矛盾、権利濫用の違法行為となる。

無知無能の野党議員に残された国民に対する責務

 (1)佐川証言には重大な違法があるとして再証人喚問を求めること
 (2)佐川を証言拒否罪として刑事告訴すること。

 議員証言法では議院による告発の規定がある。議院が告発しなければ議員は個人で刑事告訴ができる。佐川の違法行為により議員としての権利を侵害されたからである(業務妨害罪が付加される)。また、賠償請求もできる。佐川の行為は公務員時のものは国家賠償請求で、退職後の違法行為は民事賠償請求する。

 刑事告訴はもし検察が不起訴としたら検察審査会に訴えて責任の追及を継続する。このように徹底的に責任を追及することによって佐川の事実上の再就職の機会を抑制する。これが官僚の悪巧みを撲滅する有効な手段である。

 以上のことを野党議員が頭に叩き込んでおかなければ、昭恵夫人の証人喚問も単なるスタンドプレイショーで終わるだろう。

(了)
【青沼 隆郎】

<プロフィール>
青沼 隆郎 (あおぬま・たかお)
福岡県大牟田市出身。東京大学法学士。長年、医療機関で法務責任者を務め、数多くの医療訴訟を経験。医療関連の法務業務を受託する小六研究所の代表を務める。

 
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