11年ぶりの南北首脳会談(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
今回の南北首脳会談で南北が合意したのは、一切の敵対行為の全面中止、定期的な会談開催、直通電話での協議、段階的な軍縮、年内に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換することなどである。合意よりも、これが実行されるかどうかが問題であるが、実行されたら朝鮮半島の歴史に新たなページが刻まれることになるだろう。今回の南北首脳会談の意義は、北朝鮮の首脳が初めて韓国の地を踏んだことであり、また、核協議の蚊帳の外に置かれていた韓国が仲裁者としての役を買って出て、米朝首脳会談まで成立させたことだろう。
それでは、なぜ今回の南北首脳会談は成立したのか。北朝鮮は体制の危機に直面していて、資金獲得と制裁緩和を狙っているといわれている。資金獲得と制裁緩和で、金政権の権力を維持し、休戦協定を終息させ、経済制裁を解除することで、周辺国から経済支援を獲得するのが目的だろう。それに北朝鮮は米国の先制攻撃を最も恐れており、それを何とか回避したいだろう。トランプ大統領の今回の脅しは本物で、制裁がじわじわと相当な効果を上げている。制裁のなかでも石油制裁は北朝鮮の経済だけでなく北朝鮮軍を追い詰めている。北朝鮮は制裁によって、今現在、石油は70万トンくらいしか供給されていない。
これでは、戦闘はもちろんのこと、北朝鮮経済の崩壊につながりかねない。核実験を続けていくにも資金的に限界に達しているようだ。体制の崩壊とともに一番怖いのが米国の先制攻撃で、今回はこのままではそれを免れることは難しいと思ったので、それを回避するために、譲歩し、首脳会談に臨んでいるという。専門家の分析によると、北朝鮮は核開発のために大きな代償を払ってきたのでそれを簡単に破棄することはないだろうという。それでも、核をもつことより、それを破棄することがより大きな利益をもたらすと確信した場合には、核廃棄も選択しになるとされている。
最後に、今回の南北首脳会談の最重要課題である非核化について今後取るべき具体的な措置について触れていないし、また実行する過程で意見の食い違いが出てくる可能性が指摘されている。韓国では南北首脳会談を大きく報道し、まるで非核化が実現したかのように大騒ぎである。会談に期待を寄せるのはいいにしても、これは大きな一歩であって、会談の成果が出たわけではないので、今後冷静に推移を見守る必要がある。ただ、今までの会談と違って、今回の会談は全世界に放映され、もしこれを実行しなかったら、米国の軍事的な攻撃に遭遇することはいうまでもなく、北朝鮮は世界的に信用を失うことになるだろう。6月には米朝首脳会談なども予定している。しかし、想像以上に金委員長は勇気を持っているし、軍も掌握しているので、南北首脳会談は朝鮮半島に春をもたらす起爆剤になるかもしれない。
(了)
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