2024年04月28日( 日 )

金権腐敗政治象徴としてのもりかけ事案

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は主権者の覚醒と行動を促した6月16日付の記事を紹介する。


昨年来、国政の中心審議事項とされてきたのは森友・加計疑惑である。安倍政権の擁護者は、いつまでもりかけ問題ばかりを追いかけるのかというが、その言葉はもりかけ問題が重要ではないとの判断に基づくものである。
しかし、これらの事案は安倍政治の本質にかかわる重大な事案である。政治を私物化し、近親者に便宜供与を図る、利益供与を図る行為は、最も古典的で、最も根源的な政治腐敗事案である。
しかしながら、真相の全容解明と、責任ある当事者の責任追及が行われていない。真相解明と責任処理が完了しているのに、なおこの問題が論議されているというなら、「いつまでやっているのか」との批判も正当だろう。
しかし、真相は解明されておらず、責任処理もまったく行われていない現状を踏まえれば、この段階で問題に幕引きすることのほうがはるかに重大な問題である。
この問題は安倍首相自身の進退に関わる重大問題であり、そのために、安倍首相を擁護しようとする勢力が、責任問題に発展させずに幕引きを図るために「いつまでやっているのか」の言説を意図して流布しているのだ。
これらの問題で安倍内閣は総辞職すべきである。政権を担う資格はない。真相解明もせず、責任を明らかにもしない安倍内閣が問題なのであって、問題を追及する方がおかしいという理屈は成り立たない。
これらの事態が進行するなかで、メディアは何をしてきたか。5月の連休前に安倍内閣は進退窮まった。この局面でメディアは情報空間を別の話題で占有させた。

TOKIOのメンバーの強制わいせつ事案が情報空間を占拠した。警察当局とNHKがタイミングを計って表面化させた事案である。
この話題が峠を越えると、次に情報空間を占拠したのが日大アメフト部の危険タックル問題だ。さらに、和歌山の資産家急死問題をNHKが大々的に報道し続けた。
昨年から今年にかけては日馬富士暴行事件が情報空間を占拠した。つまり、もりかけ疑惑に光が当たらぬようにメディアがほかの話題に人心を誘導したのである。
しかし、もりかけ疑惑は何も解消していない。時価10億円の国有地が実質200万円で払い下げられることを刑事事件として立件しないなら、行政は完全な無法地帯と化す。
公文書の大規模な改竄、虚偽公文書作成が無罪放免にされるなら、刑法そのものが意味を失う。

北朝鮮が人権侵害国家だと批判する者がいるが、日本はほかを批判できる立場にない。立憲主義が否定され、法の支配が否定されて、ただひたすら独裁権力が横暴を振るっているというのが日本の現状である。この現状を、このまま放置してしまってよいのかどうか。これを判断するのは、日本の主権者、市民である。

※続きは6月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2063号立憲民主党に対する主権者の素朴な疑念」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

関連キーワード

関連記事