2024年04月20日( 土 )

災害特別報道体制を敷かなかったNHK

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。
今回は政治を私物化し、刑事司法とマスメディアを不当支配する安倍政権を糾弾した7月8日付の記事を紹介する。


活発な梅雨前線による大雨により甚大な被害が広がっている。7月8日午前0時現在で、全国で51人が死亡、1人が心肺停止、安否不明者は少なくとも76人に上っていると伝えられている。避難指示勧告は863万人に達している。
2017年7月の「九州北部豪雨」、2014年8月の「豪雨による広島市の土砂災害」を超える死者・行方不明者が発生している。極めて深刻な事態である。
今回の激甚災害における大きな特徴は、被害が拡大の一途をたどった7月6日の段階で、NHKが全面的な特別災害報道に切り換えなかったことである。
安倍内閣は、この日にオウム事件の7人の死刑確定囚に対する死刑を執行した。安倍内閣は政治日程上の理由から、この日に死刑を執行したのだと考えられる。その死刑執行であるから、NHKはその報道に時間を割く必要があったのだと考えられる。

通常国会は32日間会期が延長されて7月22日まで開かれる。この通常国会のメインテーマは「もりかけ疑惑」である。そこに財務省事務次官のセクハラ事案が重なり、麻生財務相辞任、安倍内閣総辞職が確実な情勢になった。
ところが、5月の連休に際してジャニーズ事務所所属グループメンバーの強制わいせつ事案が報道され、人々の注目が大きく逸らされた。
安倍内閣は刑事司法を支配して、重大犯罪をすべて無罪放免にする行動を示し、刑事司法とともに支配するマスメディアが政権攻撃を一斉に後退させて、政権維持を図っている。
こうしたなかで、TPP承認案、関連法案などが強行採決され、さらに、遺影を掲げて過労死遺族が反対の意思を示す議場で「働かせ方改悪」関連法案も採決が強行されてきた。
芸能ネタの後は、ワールドカップサッカーが人心を引き寄せるネタとして活用されたが、日本代表がベルギーに敗れて、このカードが賞味期限を迎えてしまった。

会期末に向けて、参院議員定数増法案、水道法改定案、カジノ法案を強行採決しなければならない。そのためのスピンが必要であったため、オウム死刑囚死刑執行、川崎市大口病院不審死事件の犯人逮捕のカードが切られている。
カジノや議員定数増加法案に対する主権者の関心を逸らすためである。そして、オウム事案は内閣支持率を引き上げるために活用することも予定されていたのだと思われる。このため、この報道をカットすることは許されなかったのだ。

しかし、そのために、数十年に一度の重大災害の報道が疎かになった。NHKが重大災害と位置付けて災害特別報道体制を敷いていれば、事前に避難できた住民が多数存在したはずである。

※続きは7月8日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2081号「すべてを疑い自分の目で見て自分の頭で考える」で。


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