2021年12月02日( 木 )
by データ・マックス

昨今M&A事情(7)21LADY~乗っ取られた「洋菓子のヒロタ」の運営会社(前)

 「洋菓子のヒロタ」といえば、シュークリームを中心とする全国ブランドの菓子メーカーである。その運営会社、21LADY(株)(名証セントレックス上場)の創業社長が株主総会で解任された。一体、何があったのか。

創業社長の広野(藤井)道子氏が株主総会で解任

 21LADY(トゥエニワンレイディ)は6月27日、第19回定時株主総会後、代表取締役社長が広野(藤井)道子氏から米道利成氏に交代したと発表した。
 同社が株主総会後に東海財務局に提出した臨時報告書によると、会社側が出した取締役4人の選任議案で、広野(藤井)道子氏は43.50%の賛成しかなく再任されなかった。社外取締役で投資会社サイアムライジングインベストメント1号合同会社代表社員の米道利成氏は97.17%の賛成で再任された。
 サイアム社が株主提案した3人の社外取締役は賛成55.59%で選任。その結果、6人の取締役の構成は、サイアム社側が4人と多数派を占め、米道氏が社長に就任した。
 米道氏とは何者か。1965年10月生まれの52歳。

 「『洋菓子のヒロタ』、株主の反乱で社長解任」と最初に報じた東洋経済オンライン(6月29日付)によると、〈サイアムは、1997年に経営破綻した山一証券出身で食品会社などを経営する米道氏らによって昨年3月に設立された投資ファンド。昨年4月に、21LADYの大株主だった別の投資ファンドから112万株を買い取り、2位の大株主となっていた。(米道氏は)1年前から21LADYの社外取締役を務めていた〉と報じた。

 21LADYはシュークリームで知られる「洋菓子のヒロタ」や北欧輸入雑貨販売の「イルムスジャパン」を運営する。広野(藤井)道子氏は2000年に創業して以来、社長を続け現在も33.40%を握る筆頭株主だ。
 ところが、長年にわたる業績不振を理由に2位の大株主で、16.83%を保有する投資ファンド、サイアム社が反乱。ほかの株主も同調し、広野(藤井)道子氏は社長をクビになった。新興投資ファンドが、わずか1年で「洋菓子のヒロタ」の運営会社を乗っ取ったのである。

OLから投資会社を起業

 広野(藤井)道子氏は女性起業家として名が通る。旧姓は広野で、結婚後は藤井。対外的には旧姓を使っており、会社の公式資料は広野(藤井)道子。以後、広野姓で記載する。
 広野道子氏は1961年3月、京都府に生まれた。関西学院大学文学部国文学科卒。富士通オアシス勤務を経て、大手コンサルティンング会社ベンチャーリンクでFC(フランチャイズ)開発を手がけたのち、93年にDPEチェーンのプラザクリエイトに転職。94年、ポッカクリエイトの常務に就任、フランス風カフェ「カフェ・ド・クリエ」の立ち上げに携った。98年よりベンチャーキャピタルMVCにて、米シアトル発祥のコーヒーチェーン「タリーズ・コーヒー」の事業を推進。タリーズコーヒージャパンの副社長を務めた。
 そして起業。2000年3月、21LADYを東京都千代田区に設立。女性とその家族の日常生活を豊かにするブランド価値の高い企業の再生に投資する事業を始めた。
 02年12月には英国式パブ「HUB」を展開する(株)ハブの株式24.95%をダイエーから取得(09年に全株を売却して撤退)。04年10月名古屋証券取引所セントレックスへ上場した。

(つづく)
【森村 和男】

 
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