2024年05月02日( 木 )

故郷広島の被災地の家族、友だちのために何ができる?~土井朋実さん(福岡在住)が語る西日本豪雨

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7日、土砂が堆積した県道37号線広島三次線の様子(被災者提供)

 今から4年前の2014年8月20日、前夜からの集中豪雨により、広島市安佐北区、安佐南区などで大規模な土石流が発生。大量の土砂が新興住宅地を飲み込んだ。災害関連死を含む77名が死亡。過去30年で最悪の災害と言われた。

 広島市では1999年6月29日にも豪雨による新興住宅地での土砂災害を経験しており、31名の死者を出している。99年当時から「ムリな宅地開発」に対する懸念の声が出ていたが、2度におよぶ土砂災害は、結果的になんの教訓をももたらさなかったと言わざるを得ない。

 今月6日から7日にかけて、広島市一帯に豪雨が発生。安佐北区を三度、大量の土砂が襲った。8日時点で3名の死亡が確認されている。被災現場の口田南(くちたみなみ)地区では、雨により裏山が崩壊。流出した土砂などにより住宅が倒壊したのが原因とされている。

 太田川と二ケ城山に挟まれた口田南区を含む地域には、JR芸備線安芸矢口駅を最寄り駅とするベッドタウンが形成されている。団地を始め、新興住宅が多い地域だ。川の対岸には、14年8月の豪雨で土石流に飲み込まれた新興住宅地が見える。

 現在、福岡市内で土木を学ぶ土井朋実さん(21才)は、高校生まで口田南周辺の団地で暮らしていた。自宅の窓からは、対岸の団地が見えた。14年8月の災害時には山肌崩落の一部始終を目撃したという。土井さんは、この土砂災害で、高校の先輩、友だちを亡くしている。「目の前で困っている友だちを助けたい」という思いが土木を学ぶきっかけになっているそうだ。

 「安芸矢口駅前の道が冠水したよ」。駅前の道とは、県道459号矢口安古市線を指す。災害発生を知ったのは、安芸矢口駅前に住む友だちからのメールだった。第一声は「また冠水したの?同じことの繰り返しじゃん。どうなってんの?」という行政などに対する不審の言葉だった。冠水により、当然JRは不通、道路も土砂で埋まり、物流が途絶え「陸の孤島」と化したことを知らされる。

 呉市の友だちからも、「山がふさがって孤立状態だよ」という連絡を受けた。遠く離れたこの場所から、「自分に今、何ができるだろう」と自問自答の日々を送っている。土井さんは「知り合いが近々、物資を届けるという話を聞きました。気持ち程度ですが、私も協力したところです」と語った。

【大石 恭正】

 

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