3兆円の賠償金要求、鳥取県・北栄町でコナンvsコナン勃発

　国民的アニメ「名探偵コナン」の作者、青山剛昌（あおやま・ごうしょう）氏の故郷としても知られる鳥取県・北栄町（ほくえいちょう）で、今、駐日米大使も巻き込んだ壮大なバトルが勃発している！

豊かな自然、鳥取県・北栄町

　鳥取県の中央に位置し、日本海に面する北栄町（ほくえいちょう）。鳥取県を代表する農産地として、「大栄西瓜」や「砂丘ながいも」など、多岐におよぶ農産物のブランドを築き上げている。また、国民的アニメ「名探偵コナン」の作者、青山 剛昌氏の故郷としても知られ、町の至るところでコナン君の姿を目にすることができる。人口は約15,000人（2018年4月現在）。

　豊かな自然環境を未来を担う子どもたちに継承するため、まちづくりのスローガンの1つとして「やさしいまちづくり」を掲げる北栄町。しかし、遠く海の向こう――超大国アメリカを舞台に活躍する人気コメディアンの“とある発言”をめぐり、真っ向勝負を挑んでいる。

コナン君は私を模倣したキャラだ！

　ことの発端は、アメリカで人気のコメディアン、コナン・オブライエン氏の発言。コナン氏は日本で国民的アニメとして知られる「名探偵コナン」の物語内容を自身が司会を務めるトーク番組「CONAN」で説明。ここまでは何の問題もなかったのだが、主人公コナン君の姿・格好など、キャラクターの特徴に言及する段になると、自分との類似点が多く、コナン君は自分の模倣キャラクターであるという主張を展開。さらに、コナン君の存在により、自分は不利益を被っているとして、関係各所に対して3兆円の賠償金を要求したのだ！

火蓋を切った要求合戦

　コナン氏は、同番組のなかで「名探偵コナン」の作者、青山剛昌氏の故郷北栄町にも言及。町内でコナン君の銅像や、コナン君のイラスト付電車が走っていると町の様子を話した。このことを知った北栄町の松本昭夫（まつもと・あきお）町長が、コナン氏宛にフェイスブックを通じて「北栄町を世界にご紹介いただき、ありがとうございます」とメッセージを送信。これで終わっていればよかったのだが、同メッセージで、松本町長は、偉人アーサー・“コナン”・ドイル氏の言葉を引用しコナン君がコナン氏の模倣キャラではないということを暗に主張。加えて、同メッセージの最後が「もしお金が欲しいのなら、北栄町にお越しください」と挑発的な文言で締められていたため、これにコナン氏が噛み付いた。北栄町訪問の条件として、以下のことを要求したのだ。

【コナン氏の要求】
　(1) 北栄町で最も繁盛しているコインランドリーの名称を「アメリカのコナンの洗濯屋さん」に改称すること。
　(2) 北栄町、半径約32km圏内のすべての建物に入れる鍵を用意すること。
　(3) 北栄町、由良駅前のコナンの銅像のヘアースタイルを自分のヘアースタイルに似せること。

　これらの要求に対して、松本町長はフェイスブック上でコナン氏に向けたビデオメッセージを発信。以下の要求返しをやってのけた。

【松本町長の要求】
　(1) ラシュモア山にある、リンカーン大統領の顔の隣に自分の顔をつくること。
　(2) ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに自分のプレートを入れること。
　(3) 北栄町訪問時に、15,000個（北栄町の人口分）のハンバーガーをもってくること。

　国民的アニメ、「名探偵コナン」を巡り始まった要求合戦。これ以上ことを大きくするわけにはいかない――北栄町とコナン氏のバトルに、9月2日、何とビル・ハガティ駐日米国大使も参戦。ツイッターで「平和的に解決するため、私が調停役を務めます」と発信し、橋渡し役を買って出る事態となった。
　北栄町の担当者は「本当に、偶然コナン氏が番組で北栄町に言及されていたのを知り、町長がメッセージを送ったことで、ここまでの展開に発展しました」と話す。始まりは偶然かもしれないが、ここまで話題になれば、町の知名度向上に一役買った立派な広報実績といえる。

　明日、9月6日、ついにコナン氏が3兆円を受け取りに北栄町に来町する。日米コナン対決の結末はいかに――。

【代　源太朗】