2024年02月23日( 金 )

スルガ銀行の不正融資を検証する(後)

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 地銀の数が多いのは福岡県で、第一地銀が4行(福岡銀行・西日本シティ銀行・北九州銀行・筑邦銀行)、第二地銀が1行(福岡中央銀行)の計5行。次が大阪府(第一・第二地銀2行ずつ)と静岡県(第一地銀3行・第二地銀1行)で計4行。
 福岡県の人口は5,110,839人。大阪府は8,826,524人。静岡県は3,658,657人。パーヘッドで見れば福岡県は約102万人。大阪府は約220万人。静岡県は約91万人で100万人を割るオーバーバンキング状態で、【表1】の通り、金融の激戦区となっている。(いずれも2018年8月1日現在の推計人口)

~静岡県地銀(4行)の預貸金について~  【表2】を見ていただきたい。
<この表から見えるもの>
◆静岡銀行と清水銀行の本店は静岡市にあり、スルガ銀行と静岡中央銀行は沼津市にある。
◆18/6月期の貸出金を見ると、トップは静岡銀行で前年比+2,851億円の8兆3,180億円(+3.5%)。2位はスルガ銀行で前年比▲935億円の3兆1,504億円(▲2.8%)。3位の清水銀行は前年比361億円の1兆1,095億円(+3.4%)。4位は静岡中央銀行で前年比131億円の4,821億円(2.8%)。静岡銀行など3行は前年比プラスだったが、スルガ銀行はシェアハウスへの不正融資の影響を受けて大きくマイナスとなっている。
◆静岡銀行など3行は個人ローンの表記を消費者ローン(内訳は住宅ローン・その他 ローン)としているが、スルガ銀行は個人ローン(内訳は有担保ローン・無担保ローン)としている。消費者ローンの比率が90.7%あるため、消費者ローンと記載すると、スルガ銀行自体が消費者金融会社と間違われることを懸念しての表記と見られる。
◆静岡銀行の消費者ローンは前年比+1,583億円の3兆1,390億円。一方スルガ銀行は前年比▲744億円の2兆8,573億円と大きく減少。17年6月期の静岡銀行は2兆9,807億円でスルガ銀行は2兆8,573億円と肉薄していたが、大きく差をつけられているのがわかる。

~スルガ銀行の貸出金について~
【表3】、【表4】を見ていただきたい。ともにスルガ銀行貸出金の推移表である。
<これらの表から見えるもの>
◆【表3】は1年間の貸出金の動きである。「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの倒産を含めシェアハウス問題が表面化したため、個人客が離れていったことが見える。
◆【表4】は過去の貸出金推移表である。個人融資に特化し順調に貸出金を増やしていった形跡が残っている。しかしシェアハウスをめぐる不正融資が表面化すると、一転して経営危機に見舞われる事態となっている。

~静岡県の地銀(4行)の収益状況および純資産について~
【表5】、【表6】を見ていただきたい。
<これらの表から見えるもの>
◆【表5】から見えるように、スルガ銀行の2017年3月期当期純利益は426億円で、大きく減益となった静岡銀行の292億円に大差をつけているのがわかる。しかし2018年3月期は210億円と半減している。19年3月期は250億円を予定しているが、赤字転落を含め予断を許さない状況も予想されている。今までは経営統合する側だったが、今後は経営統合される側に回ることになりそうだ。
◆自己資本比率は4行とも10%を超えており、国内基準の4%を大きく超えている。

<まとめ>
 日銀のマイナス金利政策が続いているうえに、金融機関の競争が激化し、貸出金利は低下する一方の金融情勢のなか、スルガ銀行や西京銀行は収益を上げるため、不動産関連融資をせざるを得なかったのではないだろうか。今後、第3、第4の銀行が出てくるのではないかと危惧されている。日銀から見放された多くの地銀は、ふくおかFGと十八銀行の経営統合が承認されたことから、安心して金融庁を頼って経営統合に走ることになるのではないだろうか。

(了)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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