2024年04月23日( 火 )

スルガ銀行の不正融資を検証する(中)

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 シェアハウス投資関連などへの不正融資が問題となっているスルガ銀行が、創業家の複数の関連企業に500億円弱を融資していることが新たにわかった。
 今春からスルガ銀行を立ち入り検査中の金融庁は、創業家出身者が代表を務める実態のない企業も含まれている可能性もあるとして、企業統治(ガバナンス)が機能不全になっているとみて問題視し、実態の解明を急いでいるという。

~主要株主名簿について~
【表1】を見ていただきたい。スルガ銀行の有価証券報告書に記載されている18年3月末の主要株主名簿である。

<この表から見えるもの>
◆太字は創業家の資産管理会社・関係会社と推測されている。上位株主10社のうち、4社が入っている。その議決権比率は合計すると15.46%となっており、その比率は高い。
◆創業家の関連企業とスルガ銀行との関係にメスが入れば、スルガ銀の株主構成にも影響を与える可能性が出てくることになりそうだ。

~株価について~
【表2】を見ていただきたい。
◆スルガ銀行の昨年8月末の株価は2,352円。また今年の最高値は1月10日に付けた2,544円だった。しかしシェアハウスへの不正な融資が問題視されるにつれて、株価は急落していった。1月末は何とか2,000円台をキープしたものの、2月末は1,764円。3月末は1,469円と毎月末は下落していったのがわかる。7月末は1,000円台だったが、8月に入るとシェアハウスへの不正な融資が表面化すると株価は一気に下落。8月23日には今年の最安値563円を付けた。9月5日の終値は603円(前日比+23円)だったが、弁護士で構成する同行の第三者委員会は9月7日に、不正に関する調査報告書を公表することにしており、その内容次第では株価は大きく変動することになりそうだ。

~金融庁が不動産向け融資の総額や審査体制などの調査を検討~
◆スルガ銀行のシェアハウスなど投資用不動産関連融資をめぐり、審査書類の改ざんなどの不正が横行した問題を受け、金融庁は全国の地方銀行を対象に不動産向け融資の総額や審査体制などを調査する検討を始めた。
 そんな矢先に、アパートの施工・管理を手がける(株)TATERU(東証一部)がアパート投資(1億1,000万円)を希望していた投資家の融資を受けやすくするため、預金残高23万円を623万円に改ざんし、業務提携している西京銀行(本店:山口県周南市/非上場)の融資審査を通りやすくしていた事実を日経新聞が8月31日に報じると、同日、会社側はこれを認めるリリースを出した。
◆それを受けて9月3日のTATERUの株価は【表3】の通り、前日比▲400円の1,206円。そのためTATERUは9月4日、弁護士を主体とする特別調査委員会を設置したが、下げは止まらず同日の株価は前日比▲300円の906円。そして昨日5日の終値は前日比▲150円(ストップ
安)の756円となっており、スルガ銀行の株価と同様、目が離せない状況が続くことになりそうだ。

<まとめ>
◆スルガ銀行は、「かぼちゃの馬車」を代表とするシェアハウスにほぼ独占的に融資を行ったことが不正融資につながった。一方TATERUも、投資家への融資をほぼ独占的に西京銀行へ持ち込んでいたといわれる。今のところ、一件だけ預金残高の改ざんが行われたことが確認されているが、はたして銀行全体または支店全体で関与していたかは今のところ不明である。
◆スルガ銀行は静岡県内で静岡銀行に次ぐ二番手銀行で銀行。西京銀行も山口銀行につぐ二番手銀行であることが、不動産融資に走らせた大きな要因と見られる。
 昨年6月、西京銀行の平岡頭取と対談。6月15日から3回にわたり「お客さまのメリットを最優先に「さすが西京」を目指す」を3回にわたり連載したが、対談のなかで、「福岡ではワンルームマンションを中心としたローンの取り扱いが主になっています。」と述べていた。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 ――県外の戦略についてはいかがですか。

▲平岡英雄西京銀行頭取

 平岡 昔から広島県、福岡県に店舗を出していますし、私自身、今も両県を行き来しています。以前は福岡、広島は融資店舗として位置付けていましたが、今は変化しています。他県では、地元金融機関との競合が厳しいため、中途半端な体力では大きな企業さまとはお付き合いがしにくい状況にあります。そうなると、対象は中小零細企業ということになりますが、そこにはどうしてもリスクがついて回ります。悩ましいところですね。
 ですから、福岡ではワンルームマンションを中心としたローンの取り扱いが主になっています。ワンルームマンションは、従来は銀行からすると投機的なものという認識がありました。しかし、こちらも競合が激しくなってきています。事業への融資が難しいからローンの取り扱いが増えたのですが、今はそのローンも厳しくなってきています。次に何をしようか、有効な手立てが見出せない状況があります。

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インベスターズクラウドおよび子会社TATERU Funding
西京銀行との業務提携検討に関する基本合意書を締結

アプリで始めるIoTアパート経営「TATERU Apartment(タテルアパートメント)」の開発・運営を行う(株)インベスターズクラウド(本社:東京都港区/代表取締役:古木大咲/証券コード:1435、以下当社)と子会社である(株)TATERU Funding(代表取締役:村上哲也、以下TATERU Funding社)は、(株)西京銀行(本店:山口県周南市/代表取締役頭取:平岡英雄、以下西京銀行)と不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化の業務提携検討に関する基本合意書を締結いたしましたので、お知らせします。

◯ 不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化の業務提携検討に関する基本合意書を締結
当社では、2016年4月より不動産特定共同事業法に基づく不動産投資型クラウドファンディング事業「TATERU Funding」を開始し、本日までに20ファンドの運用(内、10ファンドは運用終了)を行っております。2018年1月4日には「TATERU Funding」事業のさらなる拡大および提供商品の多様化を図るため、子会社としてTATERU Funding社を設立し、不動産特定共同事業許可取得のほか、新たに第二種金融商品取引業や投資運用業へ登録するため準備を進めております。
西京銀行では、銀行業務を支えるIT環境のセキュリティ強化や、他業界と連携しIoTを活用した新サービスの開発・導入など、フィンテック領域において積極的な取り組みを行っております。
このたび、西京銀行との業務提携検討に関する基本合意書締結は、下記業務提携内容について検討するものです。

<本合意書により検討する業務提携内容>
・不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化
・専用インターネット支店開設による新たなサービスのご提供
・西京銀行から当社グループへ人材の出向派遣

(株)インベスターズクラウド(現・(株)TATERU)のホームページより抜粋

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