2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

「地震に耐えられない」急遽決まった公営施設の閉鎖 直前に町は行事開催

 福岡県志免町の町議会最終日の9月26日、同町が運営する高齢者福祉センター「望山荘」を10月13日に閉鎖することが決まった。築40年を越える望山荘は、今年6月の全員協議会で来年3月末をもって閉鎖するとしていたが、9月初旬に発生した北海道胆振東部地震を受けて、閉鎖を早めたかたちだ。

 ただ老朽化は今に始まったわけではなく、同施設の安全性については数年前からたびたび指摘されていたこと、また14年前の代替施設「シーメイト」建設後に閉館される予定だったこともわかった。9月中旬には、数十名単位で高齢者を収容し、敬老の日の行事を開催しており、町の危機管理の甘さが露呈した。

 10月に閉鎖されることになったのは、福岡県糟屋郡志免町片峰にある高齢者福祉センター「望山荘」。昭和52年に設置された同施設は主に入浴施設の利用者が集まる、いわば「憩いの場」だった。町の方針では、平成16年4月の志免町総合福祉施設「シーメイト」がオープンした後、閉館される予定だったことが、志免町への取材でわかった。町は望山荘の老朽化を把握しつつ、利用者がいることを理由に長年問題を放置していたことになる。

 同町福祉課によると、望山荘では昨年7、8月の大雨で大規模な雨漏りが発生。防水処理の見積もりを行う際、建築士より当時の設計図面や構造計算書が存在しないことから建物の耐震診断ができない旨の説明を受けたという。議会には現場視察の要望を出していた。同課が施設の窮状を訴えると、今年6月の全員協議会で来年3月末での閉鎖が決定された。

 9月6日の北海道胆振東部地震を受け、町議会は同月18日に望山荘を視察した。その結果、建物の老朽化や手抜き工事と思われる箇所を複数確認。26日の議会で、10月13日での閉館が決まった。

 地震を機に閉鎖が早まった今回のケースだが、最大の問題は町の各担当課での施設管理が難しいことにある。同町福祉課への取材でわかったのは、定期的な施設の維持管理マニュアルが存在しないこと。建築物への専門知識が乏しい職員が、施設の状況を即座に把握するのは困難である。財政に限りはあるだろうが、町の資産を統括管理する「管財課」の必要性を感じる。

【東城 洋平】

関連記事