2024年04月20日( 土 )

【医学部不正入試問題】同窓生子弟や寄付金による優遇を否定~久留米大学と福岡大学

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優遇入試を明確に否定

高度救命救急センターも備えた、久留米大学病院
(同大学麻酔学教室HPより)

 久留米大学と福岡大学は7日、医学部(医学科)の入学試験において、大学同窓生を含む大学関係者子弟に対する優遇措置を講じていないことを明らかにした。東京医科大学や昭和大学医学部などで明らかになった、不正入試について調査するなかでわかったもの。

 福岡大学は今年8月にあった文科省の調査に対して「特定の受験生に対する優遇措置はない」と回答しており、このなかには「同窓生子弟」などの意味を含めているという。久留米大学も「現在はもちろん、過去においても大学関係者子弟の優遇を行ったことはない」とする。

 両大学は、大学に対する寄付金の多寡が入学者選定に影響をおよぼすことも否定しており、福岡大学の担当者は「寄付金は大学入学後に任意でお願いするものであり、入学前に要求することはない」としている。文科省の全国調査で明らかになった医学部入試の「男性優遇」について、久留米大学は「そもそも男性の志願者が多いこともあり、結果的に女子学生が少なくなっている」としつつ、「面接を含む学力テスト以外の結果で入学者を選抜することはなく、応募要項に書かれている選抜方法がすべて」と回答した。

両大学とも入学難易度が上昇

 久留米大学医学部は、1928年2月に設立された九州医学専門学校が前身。私大医学部では西日本有数の長い歴史を誇り、学制変更による何度かの改組を経て、1952年2月に久留米大学医学部を開設した。福岡大学は1972年4月に医学部(医学科)を開設して、翌1973年8月に福岡大学病院を開院。現在は主に福岡市西部と糸島市などを診療域として地域医療を担っている。

 医学部人気の高まりで、近年は両大学ともに入学難易度が上昇している。大学受験予備校「河合塾」が算出した偏差値では、福岡大学医学部が65、久留米大学は70と、私大トップの早稲田大、慶応大の理系学部と同等の学力が必要とされている。
 福岡大学医学部の関係者は、「これまでは医療の最前線に立つ臨床医の養成が中心だったが、学力の高い学生が増えたこともあり、研究分野を志す医師も増えてきた」と話している。

 私大医学部の不正入試については、東京医大が文科省事業に選定されることと引き換えに同省元局長の息子を優先入学させたことで、臼井正彦理事長(当時)と鈴木衛学長(同)が贈賄罪で起訴されたほか、女性受験生と浪人生に不利な得点操作をしていたことが明らかになっている。
 東京医大の不正入試を受けて文科省は全国81大学について調査を行い、中間報告では他の複数の大学でも不正入試が行われていた可能性があることを発表していた。これに伴って昭和大学は10月15日に会見を開き、医学科入試の2次試験で現役受験生と1浪生に加点していたことを認め、補欠合格者については同窓生子弟を優先的に合格させていたことを明らかにしていた。

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