2024年04月20日( 土 )

くるり九州ひたすら歩く旅~九州一周、完歩を目指す(17)

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 国道3号線と10号線をひたすら歩く“九州一周完歩”の旅。走行距離は実に833kmにおよぶ。週末を利用しつつ、実際に現地に赴き九州の大動脈を歩く旅。北九州市から10号線を南下するコースと宮崎市から北上するコースという2コースに分かれた旅を展開している。ゴール時期は未定だが、ようやく九州一周の完歩がみえてきた。

9月2日(17日目)
JR天津駅からJR別府駅まで~56.1km

闇夜に浮かびあがる立石峠の標識

 大雨だったのも気づかず昼間は疲れ果てて熟睡。夕方から旅の準備を始める。明日の朝まで車を駐車するためにJR宇佐駅へと向かう。駅の近くのレストランで軽く食事をしたのち、行橋方面の列車に乗り、数時間前にゴールしたばかりのJR天津駅に再度降り立った。雨が降った影響で、辺りの路面は水浸しだが、気温は幾分低く感じる。今日は限界まで歩くことになると思うので先を急ぐことにしよう。

 天津駅から広域農道を歩き、国道10号線に向かう。周囲は田畑が広がり視界は良好だ。農道にある歩道は広く、信号も少なく見晴らしがいい。感心したのは歩道の横に、よく手入れされた花壇が並んでいたこと。地域の企業や団体名を書いたプレートがたくさんあった。奉仕活動が盛んなのだろう。
夕方からひたすら歩き、夜10時ごろ宇佐駅に到着。小休憩を取った後、再スタートする。

 宇佐駅から10号線を南下していくと、日豊本線を走る列車が目に入る。手元の地図で確認すると到着予定のJR別府駅までほぼ並走している。駅は歩くうえで距離を算出する目安となるため、並走できるのはありがたい。JR西屋敷駅を超えたあたりから山が広がり、景色が寂しくなってきた、上り坂が少し緩やかになったころ、立石峠の看板が見えた。これからさらにアップダウンを繰り返すのだろう。

 それから数時間後、この旅で一番驚いた出来事があった。時刻はすでに深夜。山道なので、車の通りはまばら。人の気配はもちろんない。だが、しばらく経ったころ、後方に誰かいるような気がする。振り向いてみるが人はいない。しかし、その数分後、突然背後から「こんばんは~」という声が・・・。驚きのあまりガラにもなく大きな声をあげてしまった。声の主はなんと、ものすごい速さで歩くナイトウォーカーだった。聞けば、宇佐駅から別府駅まで仲間とナイトウォークをしているとのことで、あっという間に遠くに歩き去っていった。

 赤松峠(どこかで聞いたことのある名だなぁ~)を越えて、急な上り坂になってきた。この先にはテーマパーク「ハーモニーランド」があるようだ。この急こう配で急激に体力を消耗してしまう。
 下り坂となった10号線から別府湾の夜景がみえてきた。きれいな景色だが、昨日から歩き通しで疲れているあまり目に入らない。空が白み出し、日光が疲れた体を容赦なく照らしはじめる。到着地となる別府駅の1つ前の別府大学駅を越えたころから、足が上がらなくなってきた。ペースを落とし、風景を見ながら歩いていると温泉地で有名な別府市街が見えてきた。

今回の旅の走行距離は2日間で約100km。あまりにも強行軍だったことは今回の反省点だ。だが、自分の限界を知ることができたという意味では有意義な旅となった。帰路、特急列車の快適なシートの上で、疲れのあまり熟睡したのは言うまでもないだろう。

(つづく)

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