身内の改宗を通夜で知る
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身内に不幸があり、通夜に出席した。聞けば、大腸がんで、医者からもあまり長くはないと伝えられていたそうだ。
挨拶もそこそこに、用意された席に向かう途中、故人の名前が書かれた札を見て違和感を覚えた。名字と名前の間に”ヨハネ”と記されていたのだ。そう、故人はキリスト教に改宗していたのである。通夜が始まる前に、参加者全員に「通夜のしおり」が配布された。通夜はこのしおりに記載されたプログラム通りに進むらしかった。通夜では神父が聖書の一文を読んだり、讃美歌が歌われたりした。筆者にとっては初めての経験だったこともあり、何か粗相があってはいけない、というプレッシャーが終始付きまとっていた。
中でも最も緊張したのがお焼香だった。何かキリスト教風にアレンジされているのではないかと思い、自分の番が来ると、キョロキョロと両隣の人の動作を逐一確認してしまった(実際には通常通りで問題なかった)。あらゆる物事が多様化している。頭ではわかっているつもりでも、実際に経験するまでは本当の意味でその衝撃を味わうことはできない。
【島野 元太郎】
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