2024年03月19日( 火 )

都市のスポンジ化対策、国交省が小規模区画整理で活用ガイドライン策定

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 国土交通省は20日、コンパクトシティの形成を推進するため、都市のスポンジ化対策の新たな制度である「空間再編賑わい創出事業」など、小規模で柔軟な土地区画整理事業の活用のためのガイドラインを公表した。

 人口減少社会を迎えた日本においては、地方都市を始めとした多くの都市において、空き地などの低未利用地がランダムに発生する「都市のスポンジ化」が進行しており、生活利便性の低下や居住環境の悪化により、コンパクトなまちづくりを進めるうえでの重大な障害となっている。
 そのため同省ではこれまで、行政や住民、民間事業者などが一体となったコンパクトなまちづくりを推進するためのマスタープランである「立地適正化計画」を創設するほか、都市計画区域内において土地の区画を整えて宅地の利用の増進を図る「土地区画整理事業」などの取り組みを実施してきた。また今年7月15日には、都市のスポンジ化対策を総合的に推進する「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」が施行。この総合施策の1つとして創設されたのが「空間再編賑わい創出事業」で、事業計画で定められた「誘導施設整備区」に基づいて空き地などを集約し、集約した土地に医療・福祉施設などの誘導施設の整備を図る土地区画整理事業である。

 今回、策定された「小規模で柔軟な区画整理 活用ガイドライン」では、駅前や街中などの都市のスポンジ化地区において、地方公共団体や民間事業者らが誘導施設整備のために行う小規模で柔軟な区画整理事業の活用を推進するために、新たな制度である「空間再編賑わい創出事業」を中心に、一連の制度活用のガイドラインが参考事例や留意点などを交えながら示されている。

 都市のスポンジ化対策としては、「空間再編賑わい創出事業」などの小規模で柔軟な区画整理手法を活用し、まずスポット的にでも素早く散在する空き地などを「誘導施設整備区」へと集約。その集約した土地に、地域に不可欠でまちの顔となる医療・福祉施設などの誘導施設の導入を図ることが有効としており、散在する空き地などの解消と同時に、まちの賑わいの核となる集客力の高い空間を創出することで、拠点エリアの吸引力強化と、コンパクトシティの形成が推進されるとしている。
 また、「空間再編賑わい創出事業」の実施にあっては、施行者の負担軽減を図ることで円滑な事業実施を可能とするため、誘導施設整備区制度創設と併せて交付金(都市再生区画整理事業)・都市開発資金貸付金による融資制度の支援対象とされたほか、従来の交付・融資よりも、面積要件の引き下げが行われている。

 同省では今後、都市のスポンジ化対策に取り組む地方公共団体や民間事業者らを支援するため、説明会などを通じてガイドラインの周知・活用を図っていくとしている。

【坂田 憲治】

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