2024年04月25日( 木 )

生涯介護のいらない人生で最期まで親の尊厳を保つ~今こそ見極める力が求められる時代です

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モノが豊富なら幸せか?

長尾治療院 長尾 良一 院長

 時代は物が豊富で、情報も溢れる便利な世の中になりました。それでは、幸せですか?答えは人さまざまでしょう。なぜなら、便利が人を駄目にする一面があるからです。
 健康や医療の世界も同じです。医療に従事する者以外でも専門的な知識情報を得ることは可能です。しかし専門的な基礎知識なくしては正しい判断ができない場合もあります。なぜなら専門の有名・著名医師であっても、数人寄れば意見が割れることも少なくなく、むしろ真逆の意見が出ることすらあります。また、医学界ほど数年で常識がコロコロ変わるところも少ないのです。だから右から左に、深い考えもなく情報を取り入れた末、健康被害に泣く人がたくさん存在します。

ダイエット

 甘い考えでさまざまなダイエットを試したために、鉄分不足で貧血を招いたり、老化が進んだりすることがあります。それにもかかわらず、痩せることができたために安心し、また間違ったダイエットを繰り返す。このような行為は肝炎を引き起こす原因になることもあります。沈黙の臓器ともいわれる肝臓、知らぬ間に怖い状況になるかもしれません。テレビ番組のなかで、「冷蔵庫で冷やしたご飯を食べると太らない」と、言っているのを見たことがありますが、レジスタントスターチが糖の吸収を緩やかにして肥満にならないという1点だけを考えると「OK」ですが、胃腸を冷やすということは中医学や漢方においては「NG」です。消化器は冷やすのが最も悪いとされています。

「お薬も毒に」 表裏一体

 病気の専門家は医師、診断権をもつのも医師です。しかし、薬の専門家は薬剤師です。薬に詳しくない医師も少なくはありません。50年間患者を診てきた私はさまざまな問題を目の当たりにして来ました。多剤処方や薬の飲み合わせによって、二次的な病気を引き起こし、苦しむ患者さんたちをたくさん診てきました。医師から「これ以上、出す薬はありません」と言われ「藁をもつかむ気持ちで来ました」という患者さんが何人もいました。幸いに全員何とか回復しましたが、私の治療が特別良かったわけではなく、薬が領域を越えて処方され、患者の体にとって負担になっていたのだと思います。薬の大量の摂取や長期におよぶ摂取は最終的に多臓器不全を招き生命を脅かす原因になり得るのです。

 私が鮮明に覚えている例では、このようなこともありました。私の身近な知人で糖尿病治療薬と精神薬を飲み合わせたことによって、パーキンソン病的症状が激しく現れ、急速に症状が進行・悪化し、全身の固縮が進み、呼吸すらままならない状況に至り、死を宣告されるまでになりました。私が知人の担当医師に治療することを申し出ると「医局で相談してきます」と言い、医師たちで話し合いを始めました。結果を尋ねると「本来はだめです。しかし、知らないことにしますから、治療を行ってください」と伝えて来ました。私は知人の全身にあるさまざまな反射区を刺激して痙攣・固縮を緩めていき、さらに医師と協力することによって無事回復させましたが、改めて薬の怖さを認識した出来事でした。

医師を選びましょう

 専門医が増えている情勢のなか、より詳しく、適切な対応が望めることは良いのですが、このように喜ばしいことばかりではありません。「手術は成功しましたが、お気の毒さまです」ということもあり得るのです。局所を診る時も全身とリンクして診なければ、手術は成功しても命を失うことにつながる場合があるのです。解らないことは遠慮なく医師に尋ねましょう。それで怒るような医師は頼りになりません。守るのは、あなたたち自身の命です。

■長尾治療院
代 表:長尾 良一
所在地:佐賀県唐津市西城内6-7
設 立:1980年
URL:http://nagao-chiryouin.jp
E-mail:nagao@ia8.itkeeper.ne.jp

<プロフィール>
長尾 良一(ながお・りょういち)

1949年福岡県生まれ。手技療法の大家であった父・松造氏の後を継ぎ、長尾流の手技と独自の鍼灸治療で現在に至る。日中特種鍼法研究会会長。

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