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2019年01月09日 13:31

シリーズ・地球は何処に向かう、日本人はどうなる(11)~中国人の決断から学ぶ(前)

中国人留学生が福岡に

 筆者と中国との関係は1987年前後のこと。さまざまな面白い体験をさせてもらった白岩洋二氏(故人)が中国コンサルに携わっていたのがきっかけである。

 1989年5月に西日本新聞旅行社が主催した経済交流団として仲間10名(中小企業経営者たち)と富士丸で上海に渡ったのが、筆者の初めての訪中である。その時に王(仮名)と知り合い、約30年経った現在も付き合いがある。

 1990年9月、日本で初めて福岡で浦東開発のシンポジウムを開催し、約500人が集まった。それだけ多くの人が関心をもったのだろう。それから15年で浦東は上海の中核ゾーンへと様変わりした。

 筆者は「なぜ中国に関心をもったのだろう?」と自問自答したことがある。そこで導き出された答えは、(1)「過去に日本人が行った歴史的侵略行為への懺悔」、(2)「中国は必ず大変貌するという確信」という2点だ。上海に魅了されて60回以上は行ったと思う。

 「改革開放」政策を掲げた中国共産党の動向に影響を受けて中国人の留学生が大挙してやってくるようになった。九州大学を筆頭に私立大学にも中国人留学生が急増してきたのは、1987年頃からである。彼らにしてみれば「先進国から学び、己のビジネス人生を豊かにしよう」という野心的な展望を抱いて来福したのである。

 19世紀末の日清戦争(1894~1895)は日本の勝利に終わった。日清戦争の終了後3年を過ぎるころから「日本に学ぼう」と清の将校が日本に来るようになった(蒋介石もその1人)。しかし、その後、清国は西洋列強に侵略された。ところが1987年ごろからの「日本から学ぶ」ブームは、30年を経過し、中国が日本を圧倒するほど国力をつける原動力となった。最近は中国から舐められるほど日本は弱体化してしまった。

 国力の比較はさておき、日本と関わった、来福してきた中国の友人たちも30年という時間が経ち、最終的な生活の選択を迫られている。初期の時点で帰化した家族と後半で帰化した人の子どもたちの意識も大きく異なる。

日本定住をあきらめた友人たち

 30年の付き合いの王は20年前、中国の労働研修生の付き添いとして日本にやってきた。王は200人ほどの研修生たちを定期的に訪問しながら、悩みごと相談をしていた。

 王はこの派遣会社に転職して訪日した。4年間、日本に滞在して本人は「念願の日本永住」を決めた。しかし、上海にいる妻と子どもたちが反対したので日本への永住をあきらめた。王の場合、上海にとどまったのが賢明だった。

 現在、王は62歳。日本でいうところの嘱託扱いで、いまだ現役である。40年前、大学で日本語を習得して時流に乗ろうとしていたが、真面目過ぎて機を見るに敏ではなかった。
筆者を浙江省の舟山群島に案内してくれた王の親切さには、とても感謝している。現在、上海駅近くのマンションに夫婦で暮らしており、幸せな毎日を送っている。

 張(仮名)は大学を卒業して上海政府労働局に勤務した。その組織の下にある労働研修生を送り出す機関に出向となった。日本の責任者として東京、栃木で3年間、勤務した。

 張は予想以上に日本に魅了されたが、やはり役人である。猪突猛進で行動することはできなかった。ちなみに妻も公務員である。張は上海に帰り組織のトップに立ち、あとは定年を迎えるだけだ。

 問題は息子の結婚だ。マンションを購入できないと花嫁が嫁いできてくれない。夫婦の貯金をすべて投げだして頭金に充てた。張は世代間の不平等さを説明する。「私たちの世代はマンションを買うと値上がりし続けてきた。おかげさまで買ったマンションを5、6年で売って、2回、引っ越しできるという幸運を掴めた。しかし、息子たちの世代はマンション価格が上がり容易に購入できない。またマンションの値段が上がらず転売は難しい。息子たちは運がない」。

 中国に残った中間階級層の子どもたちも、両親たちがつかんだ利得にめぐり会う機会に恵まれず、将来の生活が容易ではない。残った方も大変なのだ。

(つづく)

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