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2019年01月15日 14:36

2019年の注目経営者、大塚家具の大塚久美子社長~「かぐや姫」の久美子社長にこれだけは言いたい「創業者の生き方をリスペクトせよ!」(前)

昨夏以降、提携企業を探していた大塚家具が、中国家具販売大手の居然之家(イージーホーム、北京市)と業務提携すると報じられた。資本提携も視野に入れているという。早晩、中国企業に呑み込まれることになるのではないか。劇場型お家騒動から4年。IDC大塚家具は岐路を迎えた。「家具屋の娘」だから“かぐや姫”と呼ばれる大塚久美子社長に、これだけは言っておきたい。「創業者の生き方をリスペクト(敬意を表すこと)せよ!」。

「リア王」の悲劇

 大塚家具の創業者、大塚勝久氏と長女の久美子氏は、シェイクスピアの戯曲『リア王』さながらの悲劇を演じた。

 「知るに相違ない。恩義を知らぬ子を持つことが、毒蛇の牙よりも鋭く親の心をさいなむことを!」

 『リア王』(光文社古典新訳文庫、安西徹雄訳)の有名な名言だ。親子の相克の際に、必ずといっていいほど引用される。
 久美子氏が勝久氏と決別を決意するきっかけは何だったのか。これは、本人たちにしかわからないが、あらかた察知がつく。

 お家騒動の震源地は、大塚家具が2006年2月に行った自社株取得のインサイダー取引事件である。07年5月、証券取引等監視委員会から3,044万円の課徴金納付の命令を受け、後継者と目されていた長男の大塚勝之氏が08年3月、取締役を引責辞任した。

 追い打ちをかけたのは、世界的金融危機を引き起こした08年9月のリーマン・ショックである。リーマン・ショックの影響で大塚家具の経営が悪化し、08年12月期には5億円の最終赤字に転落。翌09年12月期も14億円の最終赤字を計上した。

 インサイダー取引とリーマン・ショックのダブルパンチを食らい、創業者の勝久氏は当時、コンサルタントとしてアドバイスを受けていた長女の久美子氏に社長の座を譲る。創業40周年を機に、退任するということが大義名分だった。09年3月の株主総会で、久美子氏が取締役に復帰、総会後の取締役会で社長に就任、勝久氏は会長に退いた。

九州初出店をめぐる対立

  勝久氏は久美子氏を起用した理由について、ダイヤモンド・オンライン(2018年1月9日付)のインタビュー「匠大塚会長が“父娘げんか”を経て語る『事業継承ここを誤った』」で、こう述べている。
〈経営会議などでは異論があれば遠慮なく意見を言っていた。今でも思い出すのは、九州地区初出店となる1999年の「小倉ショールーム」の開設をめぐる議論だ。

 「九州地区への初出店であれば、小倉ではなくまずは博多をめざすべきだ」と久美子が説くのに対して私は、「それは十分分かっている。小倉よりも博多がよいのは言うまでもない。しかし、初出店に、より難しい場所で成功させれば好条件の勧誘が必ず出てくるものなのだ」と諭したのである。
本人が納得していたのかどうかはともかく、異論をぶつけてくるのは私への応援であり、私への「諫言役」を担ってくれているものだと頼もしく感じた。

 そこで「それほどやりたいのならばやらせてみよう。なにしろ長女で、5人姉弟の一番上だし、長男は営業部門で頑張っているから大丈夫だろう」と考え、2009年、社長を譲ると決めた。〉
これが、骨肉の争いの出発点となった。 

社長就任と同時に「IDC小倉ショールーム」を閉鎖

 九州初出店をめぐる意見の対立で、久美子氏は勝久氏の経営者としての力量を見限ったのではないか。出店の経緯を振り返ってみよう。

 北九州市は国際都市を目指して、市を核にした「北九州輸入促進センター」を設立。1998年4月、小倉北区にアジア太平洋インポートマート(AIMビル)を開業した。当初は、スーパーのヤオハンのグループ会社が入居していたが、同社が破綻したため、大塚家具を誘致した。

 99年6月、「IDC小倉ショールーム」を開業。「九州への初出店であれば、小倉ではなく博多をめざすべきだ」という久美子氏の主張が絶対的に正しい。

 勝久氏がなぜ小倉出店を決断したのか。JR小倉駅に近い立地か。それとも、勝久氏が若い時代に刷り込まれた、八幡製鐵所(現・新日鉄住金)の城下町として栄えたイメージが強かったからだろうか。

 小倉出店は、勝久氏の勘に頼る経営に、久美子氏が見切りをつけた決定的瞬間だったといえる。程なくして、久美子氏は大塚家具を去る。

 その後、父、勝久氏の後任として、大塚家具の社長に就いた久美子氏が、真っ先に手をつけたのが「IDC小倉ショールーム」の閉鎖である。09年3月、久美子氏は社長に就任。09年5月、小倉ショールームを閉鎖した。

(つづく)
         【森村 和男】

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