わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
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2019年02月05日 11:02

同じ成功体験を続けない 進化を続けるホスピタリティ(前)

カトープレジャーグループ 代表取締役兼CEO 加藤 友康 氏

豊かな自然や名所旧跡を生かした高級旅館、個性的かつハイクオリティな飲食店、完売を続ける分譲型ホテル事業、さらには破綻した公営リゾート施設の再建など、実に幅広い分野で際立った存在感を放つカトープレジャーグループ。インバウンドの荒波にも動じず、国内のニーズを鋭く捉えてヒットを連発するプロジェクトの数々は、業種を問わず、リブランディングの大きな参考になるのではないだろうか。グループ代表の加藤友康氏に、現況とともに成功の要諦をうかがった。                

 (聞き手:弊社代表・児玉 直)


民営化施設に大型投資

18年4月にグランドオープンした「i+Land nagasaki」

 ―昨年は、公設の複合型レジャー施設「やすらぎ伊王島」が長崎市から移譲され、「i+Land nagasaki」(アイランド ナガサキ)として4月にグランドオープンしました。もともと完全民営化で独自に運営していくというお考えはありましたか。
 加藤友康代表(以下、加藤) いいえ、長崎市の要請を受けて検討いたしました。伊王島の施設は、もともと破綻した第3セクターのビーチ・リゾート施設でしたが、2003年から15年間、私たちが指定管理者として、地域の方々が通年で喜んでいただける施設とするべく運営いたしました。おかげさまで、250社以上の地元のお取引先の皆さまに支えていただき、年間223万人のお客さまにご来場いただきました。収益も上がり、200名を超える雇用を維持して地域に貢献できたという自負がございます。

 長崎市議会は、施設の建物の老朽化で大規模な修繕が必要になってくるなか、この施設を行政指導のなかでやっていくことが適正かどうかを検討し、民間移譲という判断を出されたと思います。私どもとしては、これからの長崎経済の展望や離島という立地条件など、当グループが資産を所有することについて、さまざまな懸案がございましたが、この15年間、たくさんのお客さまにお越しいただいたことや、地域の方々に大変お世話になり、雇用も維持できているところで、私どもが撤退すると、これまでやってきた意味はどうなるのかということを深く考えまして、市の要請をお受けし、大型リノベーションによるリブランディングプロジェクトに至った次第です。

 ―新たに約2万m2の土地を取得し、カップルやファミリー、ペット同伴などさまざまなシーンに対応するロッジエリアを増設するなど設備投資もなされましたね。
 加藤 すべての事業がそうだと思いますが、私たちのリゾート、レジャー事業についても“止まると終わる”と思っています。日常の変化や大きな流れをつけていかなければいけません。収容人数1,500名を超える大型施設でございますから、たくさんの方に毎年来ていただけるリゾートとして、再投資または業態変革を行っていかなければならないと思っております。

浮上した2つの弱点

 ―富裕層向けの施設にも力を入れられていますね。
 加藤 私たちがスモールラグジュアリーの施設を始めてから10年が経ちます。当初、温泉地のスモールラグジュアリーリゾートのあり方について、インバウンドのお客さまを意識してマーケティングしたところ、従来のローカルリゾートの弱点が2つ見えてきました。

 1つは、「ファシリティ」(施設・設備)の問題です。たとえば、当時は個室露天風呂を有する施設が非常に少なかったので、「やはり寝る時はベッドルームがいい」とかプライバシー面でストレスを感じられていた方が多かったようです。また、Wi-Fiが整備されていなかったり、ブラウン管テレビだったりするところも少なくはありませんでした。プライバシーに関しては、オペレーション上の問題で、仲居さんが「朝食は何時にしますか?」「お布団を上げます」などといって部屋のなかに入って来ることを気にされる声もありました。

 もう1つは「食」の問題です。10数年前当時には、外資系リゾートのブームが訪れており、東京都内で外資系のホテルに宿泊して10万円を超える宿を楽しむマーケットがすでにありました。しかし、食に対する満足度は低かったため、食の原価に対する考え方を変えたことが成功のポイントでした。

 ―さまざまなニーズに応えた展開も見せていますね。
 加藤 海のイメージが強い熱海で、深閑の森のなかにつくらせていただいた「熱海 ふふ」は、隠れ家的スモールラグジュアリーとして富裕層の方々から高い評価をいただき、著名人の方にもお越しいただける旅館になりました。それから、建築家の隈研吾先生が設計され、自らのターニングポイントになったとされる建物を「ATAMI 海峯楼」としてオープンいたしました。

 また、世界的なコンサルタントである大前研一先生から、我々のオペレーションが評価され、ご依頼いただき、リゾート地における世界のエグゼクティブの研修施設「ATAMI せかいえ」をトータルプロデュースさせていただきました。大前先生ならではの世界に発信できるリゾートとして、ローカルリゾート初のローカルハラル認証を取得したほか、とくに毎日のように会食が続き、健康を気にするエグゼクティブ経営者の方や美容を気にする女性に向けてのファスティングプログラムへの対応もさせていただいております。この施設も大変成功しておりまして、17年11月にはもう1棟を増設し、「ATAMI せかいえ 月の道」としてオープンしております。

(つづく)
【文・構成:山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:加藤 友康
所在地:東京都千代田区大手町2-6-2(東京本社)
設 立:1962年4月
総資本金:1億7,150万円
総売上高:約240億円(サービス業のみ)

<プロフィール>
加藤 友康(かとう・ともやす)

1965年、大阪府出身。ホテル、フードサービス、スパ、ラグジュアリーリゾート、公共リゾート、エンタテインメントなどあらゆるレジャー事業開発を行うプロデュース企業の代表取締役兼CEOを務める。大学在学中より父親である創業者・加藤精一氏の事業に携わり、以来多角的な視点からレジャー事業の総合的なプロデュースを手がける。グループ内には、多種多様な事業を展開するプロデュースチームが存在し、クライアントや投資家の方からのさまざまなご要望に対して、立地やニーズに合わせ変幻自在な業態開発を創出している。主な著書に、「経営者が欲しい、本当の人材」「世界一楽しい仕事をしよう!KPG METHOD」(ワニブックス)がある。

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