2024年03月29日( 金 )

豊洲市場の耐震偽装問題はレオパレス騒動の比ではない!(中)

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協同組合建築構造調査機構代表理事 仲盛 昭二氏へのインタビュー
(聞き手:伊藤鉄三郎)

-建築確認機関による検査で発見できなかったのでしょうか?

 これについては、何ともいえないことですが、中間検査でチェックされるべき項目なので、検査に合格しているとすれば、検査体制の問題もあります。

 建築確認機関による検査について、先程 意見を紹介した一級建築士は下記のように話していました。
「私がいつも検査をしている物件(木造の共同住宅)では、確認済証を交付した機関から派遣された検査官と同時になることがありますが、界壁の仕様や工事の状況は時折指摘を受けています。現場監督や工事の担当者が知識不足で二重に張らなければならないボードを一重で済ませていることも時々あって、指摘を受けているのです。その場合、監督や施工業者の知識が不足していて、自分が手を抜いている意識さえないという印象を受けます。いずれにしても、検査で重要な項目ですので、これを見逃す検査体制には問題があります」

-建築確認済みの図面が書き換えられた可能性はないのですか?

 それはまずあり得ないと考えたいです。監理建築士の責任もありますので、監理建築士が意図的に手抜きを指示することは 通常は考えられません(何のメリットもありません)。あるとすれば、監理体制の甘さの結果であるともいえます。

 レオパレスはシリーズで建築しているわけですから、現場監督としては検査体制の甘さを認識して常時手抜きを行っていた可能性が高いと考えられます。そうであれば、検査員の問題でもあります。確実な施工が行われていなければ「中間検査の合格証」がもらえないので(当然 完了検査も受けられない)、現場としては手を抜くことはできません。

-この施工不備の責任は誰にあると考えられますか?

 この問題は、監理建築士、現場監督、工事施工者(図面に記載されていることは認識していなければならない立場)、検査員を含めての共同責任があるともいえます。

 どの段階であれ、この四者のうちの誰か1人でも確実な役割をはたしていれば防ぐことができたことですから。

-先程、国交省が建築士の処分を検討しているという話もありましたが。

 国交省が、これらの関係者の誰か1人に的を絞って責任を取らせようとするとするのであれば、それはそれで片寄った判断であると思います。発注者が本当にまったく知らないことであったのならば、レオパレス21は被害者です。しかし、シリーズで全国展開している建物であることを考えれば、レオパレス21は 発注者として 工事内容を理解して工事を監視する体制を整えておく義務があり、責任を免れることはできないと思います。

-このような事例はレオパレスに限ったことでしょうか?

 このような手抜き工事による建築基準法違反は、レオパレスに限った事例とは考えられません。同じようなアパートは無数に存在し、レオパレスと同様に、オーナーに満室保証し、自社で建築を行う業者は多数存在します。レオパレス以外のアパートにまで調査対象を拡げた場合、アパート建設業者、アパートオーナーが窮地に追い込まれ、日本中が混乱する事態となると考えられます。

(つづく)

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(後)

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