2024年04月19日( 金 )

九州地銀の2019年3月期 第3四半期を検証する(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行の2019年3月期 第3四半期(2018年12月期)の当期純利益順位表である。いわゆる9カ月の通信簿である。

<この表から見えるもの>

(1)    当期純利益(1位~5位)

◆当期純利益の第1位は昨年に続き福岡銀行。当期純利益は前年比+75億円の389億円(前年比24.0%増)。経常利益は前年比+92億円の531億円(前年比21.1%増)。一般企業の売上高に当たる経常収益は前年比+80億円の1,360億円(6.4%増)。3部門ともに前年比プラスとなり、安定した収益を上げているのがわかる。
・2位は西日本シティ銀行で前年比▲125億円の167億円(▲42.8%)。株式売却損140億円の計上が減益の大きな要因。表にはないが銀行の実力を示すコア業務純益を比較すると、福岡銀行の490億円(前年比+36億円)に対して、西日本シティ銀行は256億円(前年比+21億円)。福岡銀行はほぼ倍近い収益力があり、1位と2位の差は大きいようだ。
・3位は肥後銀行で前年比▲18億円の96億円(▲15.9%)。
・4位は同じ九州FGの鹿児島銀行で前年比▲17億円の95億円(▲15.7%)。
・5位は宮崎銀行で前年比+292百万円の71億円(4.2%増)。昨年6位だった宮崎銀行は特別損失が増加した大分銀行に代わって順位を上げている。
ただ宮崎銀行と大分銀行のコア業務純益を比較すると、宮崎銀行の99億円(前年比+4億円)に対して、大分銀行は89億円(前年比+14億円)であり、宮崎銀行が順位通りの実力銀行であることがわかる。

(2)    当期純利益(6位~10位)

・6位は大分銀行で前年比▲5億円の68億円(▲7.1%)。
・7位は親和銀行で前年比▲29億円の38億円▲43.2%)。
・8位は十八銀行で前年比▲12億の30億円(▲28.1%)。ここまでが当期純利益が30億円以上の銀行となっている。
・9位は佐賀銀行で前年比▲29億円の23億円(▲56.1%)。前年の業務純益は+18億円だったが、今期は▲721百万円の赤字に転落。そのため株式売却益47億円を計上し、当期純利益をプラスにしている。昨年6月に就任したばかりの坂井秀明新頭取にとっては、ほろ苦い門出となっているようだ。
・10位は熊本銀行で前年比▲14億円の21億円(▲40.2%)。ここまでが当期純利益が20億円以上の銀行となっている。

(3)当期純利益(11位~18位)

・11位は北九州銀行で前年比▲3億円の18億円(▲15.3%)。3期連続で前年比プラスとなっていたがマイナスに転じている。
・12位は豊和銀行で前年比+6億円の13億円((94.4%増)とほぼ倍増している。コア業務純益は1,025百万円(前期比▲90百万円)とほとんど変動はないが、臨時損益が前年比+825百万円の475百万円となったことが大幅な増益要因となっている。
・13位は宮崎太陽銀行で前年比▲128百万円の1,072百万円(▲10.7%)。
・14位は南日本銀行で前年比▲606百万円の1,049百万円(▲36.6%)。ここまでが当期純利益が10億円以上の銀行。
・15位は福岡中央銀行で前年比▲51百万円の566百万円(▲8.3%)。
・16位は佐賀共栄銀行で前年比▲277百万円の447百万円(▲38.3%)。
・17位は筑邦銀行で前年比▲925百万円の279百万円(▲76.8%)。前年の13位から大きく順位を下げたのは、不良債権処理や株式損などの臨時特別損益を▲1,064 百円を計上したことが要因となっている。
・18位は長崎銀行で前年比▲238百万円の220百万円(▲48.0%)。

<まとめ>

九州地銀18行の当期純利益は前年比▲192億円の1,071億円(▲15.2%)。経常利益は前年比▲208億円の1,487億円(▲12.3%)。経常収益は前年比▲32億円の6,108億円(▲0.5%)となっている。
黒田東彦日銀総裁の進めるマイナス金利政策の影響を受けて、九州地銀の多くが前年に引き続き減収減益となっている。グループに属していない地銀の経営は臨界点に達しており、今後は生き残りをかけて経営統合の道を選択することになりそうだ。

※クリックで拡大

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

(2)
(4)

関連記事